11・16DDT“God Bless DDT 2009”新宿FACE大会、開始前。

pon-taro2009-11-16

まずは昼食、今回は中野のフレンチカレー・ミツボシへ。言わずと知れた、DDT直営のカレー店ですね。
カウンター8〜10席、2人がけテーブルが3席という、小さな店舗。フライヤーが別にあるとはいえコンロが二口なのにちょっとびっくりしたけど、見たところ調理は天才シェフ・猪熊料理長が一人でやってるみたいだから、あれ以上あっても仕方ないのかな?
僕は初挑戦だったので、名物ハンバーグカレーと並ぶ人気メニューだというメンチカツカレーをチョイス。…ハンバーグよりメンチのほうが好きなんですよ。で、お味はというと。

うまーいっ!

メンチの旨さがハンパじゃないです。そのまま食うと思わずむせそうになるくらい肉の旨味が強くて、カレーをかけてみると全く違った料理に変貌しやがります。なんだこのメンチカツカレー。すげぇ!
カレーそのものは、いわゆる欧風カレー。果物やタマネギかな?の甘味の後に、結構ビリビリとするスパイスが効いてきます。「もうやん」のカレーに近いかな?カレーはあんまり詳しくないので、めったなことを書くとカレー番長・高倉仮面師に怒られてしまう(苦笑)が、たぶん仮面師も好きなタイプのカレーじゃないかなぁ。

ちなみに11月の月替わりメニューは「白子カレー」。他にもキノコのチーズフリットカレーや野菜カレー、チーズオムレツカレー、キーマカレーなど、全制覇したくなるメニューが並んでおりますよ。キノコフリットはすぐにでも食いたいなぁ…。

お店の場所は、中野駅北口からサンモールと平行に中野サンプラザの横を過ぎていくと、右手にドン・キホーテが見えてきます。その交差点の向かって左奥側の角、フレッシュネスバーガーの隣に、わかりやすいシックな看板が出ています。徒歩3分くらい?
カレーのみは\680、トッピングつきは\780〜\980。ハンバーグカレーが\1280…だったはず。プロレス屋のカレー店、という片手間感はまるでありません。単に旨いカレーを食わせる店。
唯一の難点は、提供にちょっと時間がかかるので、混雑時に行ってしまうと待ち時間が発生してしまうかもしれません。お気をつけを。


食後は、軽く中野ブロードウェイを歩いてから新宿のレトロゲーム専門店ミカドへ…し、閉まってる!
貼り紙など一切なくシャッターが下りているだけなので、どういう理由だったのかはわかりませんでしたが…
今調べたら、10月に閉店してたよorz
ああ、そういや、なんかそんな話を聞いたような気がしないでもない。高田馬場に完全移転、って感じなのかなー。やれやれ。

その後すっかりゲーセン難民と化し、エスパス、オスロ、カーニバル(パンダ小屋)、タイトー(東口)、スポランと歩き回りました。
いやー、ビデオゲームがないねぇ、どこも。特にシューティングは壊滅に近く、カーニバルにTATSUJIN、スポランにウルトラ警備隊とデススマイルズ2があったぐらいですよ。

南口タイトーは、今はどうなってるんだろ?西口もやっぱりほぼ全滅だったもんなぁ。格ゲーなら、東口はカーニバル、西口はクラブセガ(元西スポ)があるけどさぁ。
ビデオゲームで話題作が出ないのもしかたないですかね。もう、市場に筐体がないんだもの。
府中セガワールドアルカスさんは、その点わりと意地でビデオゲームを置いてくれているフシがあるので嬉しいです。音ゲーは不毛だけど、なぜか五鍵があるから何も文句はないし(笑)。


さてさて。
前置きが長くなりましたが、いよいよ興行です。God Bless DDT 2009。


などと言いつつ、まずは公開記者会見という名の告知タイムから。

・12月7日、第3の飲食店「エビスコ酒場」が歌舞伎町にオープン!

ビスコとは相撲用語で「大食い」とのこと。
コマ劇真ん前の一等地、後楽そばとロフトプラスワンの間のビルの地下一階で、炭火焼きメインの昭和レトロなお店になるそうな。
ついこないだ、大社長がブログで「居抜きの超優良物件があったので即決してきた」と言ってたので、居抜きってことは開店も早いかな?と思っていたら、まさかの年内始動。
席数は30程度ということで、もしかしたら恒例ブロガー会にも使えちゃったりするのかしら?料金設定や貸切プランの存在などは、まだ一切未知数ですが。

・12月19日公開の“ストーンコールド”スティーブ・オースチン主演の映画「監獄島」に、高木三四郎が特別宣伝部長として就任!(画像)

「日本でオースチンと絡んだ奴といえば、高木三四郎ってのがいたな」という繋がりだけで選出されたそうです(爆)。このままの勢いで、両国にストンコ来ちゃったりするんかなー?
映画じたいは、ストンコら10人の凶悪死刑囚が孤島に集められ、30時間のリミットで殺し合いをするというバイオレンスアクションとのこと。つまりは「そのスジの方々によるバトロワ」?うん、バトロワよりぜんぜん観たいぜ。
そして、これを記念して11月29日後楽園大会では、タイアップとして『監獄島プレゼンツ運営権が欲しければ、殺せ!バトル』の開催が決定。参加選手は大社長、ヤングドラマ石井、大家、マイケル、透ちゃん、チェリー、谷口、藤岡メガネ…そして、猪熊裕介!(どーん!)
さらに、新藤リングアナも選手として参戦!(どどーん!)
事前に何も聞いていなかったらしい新藤氏は「運営権なんかいらねぇよ!この会社はいっつも横暴だ!」と難色を示すも、すっかりストンコのパートナー気分の大社長によるストーンコールド・スタナーで制裁。
まあそれはともかく、この映画のプロモーションで業界筋にインパクトを与えられれば、DDTグループのもうひとつの柱である芸能部の活性化にも繋がるだろうね。
ちょうど週モバの大社長コラムで
「草間さんのプロレス経営塾で『団体経営には4本の柱が必要』ということを学んだ」
と書かれてたけど、興行、飲食、芸能…あと一本は何だろうね?もしかしてジム兼会場にも目星がついたのかな?


あああ、すっかり長くなっちゃった。
えい、試合についてはまるごと次の項だ!
つづきます。
つづく。

11・16DDT“God Bless DDT 2009”新宿FACE大会、観戦記。

さあ、いよいよ興行です。これからが本文です。
思うところあって、サクサク書きます。しつこく書くところはネガティブな私見になる予感。

1:
アントーニオ本多&ササキ・アンド・ガッバーナ
(9分23秒‐片エビ固め)
マサ高梨●&佐藤光留

UWA世界6人タッグ選手権を控え、イタリアン・フォー・ホースメン(以下I4H)とベルトハンター×ハンター(以下BHH)が前哨戦。さらに、ササガバはヤングドラマ杯決勝での壮絶な大流血からの復帰戦でもある。
試合内容はパーフェクト!とまではいかなかったものの、ササガバの美技・イタリア式DDTがズバリと決まってI4Hの勝利。

そしてこの試合結果は、後ほど再び話題に…。

2:
HARASHIMA大鷲透&○安部行洋
(10分59秒‐エビ固め)
松永智充&谷口智一&高尾蒼馬

透ちゃんは尿管結石からの復帰戦。病気が何であれ、早期に復帰できたことは単純に喜ばしい。そういや、最近は欠場が多いね…KENTAとか、土井とか。んで、サイバー・コングは突然引退だって?

それはともかく、試合は果てしなく高尾が捕まる展開に。ディザスターボックス(以下D‐BOX)が巧いというのもあるが、声ばっかり出してとにかく逃げ回る青コーナーチームリーダー・松永の指令っぷりにも原因があるだろ(苦笑)。
孤立無援の高尾、デビュー間もないのに場内の黄色い声援を一身に集めつつ、新人離れした意地を見せてなんと大鷲とのブレーンバスター合戦を制する!これはびっくりした!
が、こうなると面白くないのは安部。スリングブレイドからの首固めが返されると、すぐさまコーナーに駆け登ってエグい当たりのミサイルキック!これにはたまらず高尾が沈むことになった。

うん、ヤングドラマ杯はちゃんと「始まりの終わり」になっているみたいね。特に、この試合の安部、高尾、さらに今日は初メインを務める石井らにとっては、勝者は勝者なりの、敗者にも敗者なりのモチベーションに直結しているのがよくわかる。
個人的にイチオシで応援している伊橋については次の試合で語るとして、厳しくなっているのは谷口か…。せっかく若手組どころかDDT内でも屈指の肉体を持っているので、もっと遠慮なく暴れ回ってほしいなぁ。
とにかく、この試合は、高尾の根性と安部の執念のおかげで名勝負になりました。熱戦をありがとう!

3:
飯伏幸太
(9分30秒‐24歳→体固め)
伊橋剛太●

さあ、俺メインだ。がんばれ伊橋!

OPG(俺たちプロレス軍団)の揃いのTシャツで入場の両者。うん、実績を見れば飯伏と伊橋とには大きな隔たりがあるけど、素材・生身だけで言ったら、自分にはほぼ同格に見えるんだよなぁ。少なくとも、飯伏の中には、伊橋にしか入れられないスイッチがあるはずだ。
が、いきなりトップギアのエルボー合戦から始まった試合は、あっという間に飯伏ペースに。このへんは、やはり経験の差なのか…開幕から120%の飯伏に対し、伊橋は90%くらいで暖気運転からかかっていったような印象。意地の張り合いが張り手合戦に移行すると、伊橋の劣勢はさらに顕著になり、ハイキックでダウンを喫してしまう。
なんとか立ち上がった伊橋だが飯伏は執拗なスリーパー。そうだよ。飯伏をここまでムキにさせるものが、やっぱり伊橋にはあるんだよ。
絞め地獄から辛くも脱出した伊橋が掌底連打〜ソバットからのその場飛びムーンサルトも飯伏はこれを回避、さらには全く同じムーブできっちりムーンサルトも当てていく。飯伏には似合わないが、「大人気ない」としか言いようのない攻めだ。
しかし伊橋もやられてばかりではない。飯伏のオーバーヘッドキックを受け止めてパワーボム!そうだ、その理不尽さだ!さらに、その柔らかな巨体がどうやったらそこまで曲がるのか、ぶっこ抜きの完璧なジャーマンスープレックスホールド!
だが、今日の飯伏は徹底的に大人気ない。そのジャーマンをクリアすると、またしてもお返し、同じくジャーマンでホールドしてみせる。これは返した伊橋だが、飯伏の渾身のショートレンジ・ラリアートからの24歳(垂直落下式ブレーンバスター型フェイスバスター)!!
とんでもない角度でマットに突き刺さった伊橋が、肩を上げられるはずもなかった。
試合後は、やりきった者同士による濃密な空気が流れる(画像)。飯伏と伊橋、プロのリングでプロレスルールでの星取りは、まずは1‐0となった。

期待していた通り、この二人でしか見られない試合が見られた。それはいい。
でもさ…伊橋、負けちゃったよ。と言うより、ビアガーデンでのボクシングマッチのときのような、対等に遮二無二つっかかっていく、あの気合いが今日は薄かったんじゃないか?とんでもない試合だったけど、伊橋はまだまだこんなものじゃないはずだ!
飯伏にも勝るとも劣らない怪物性は、中盤のジャーマンからも見てとれた。だけど、そこじゃないよね。伊橋の真の狂気の片鱗は、あの24歳をまともに食らってなお、誰の助けも借りずに立って歩いて退場していった、あの後ろ姿にこそあるんじゃないか。
次は、いつかは、その真価を、リングから降りるためじゃなくて、リング上で勝利のために発揮するところを見せてください。
僕は、そんな試合が見られるのを、心の底から楽しみにしています!

4:
矢郷良明&中澤マイケル
(9分57秒‐殺人グラウンドコブラ
高木三四ロビンセブン●&長井満也ゾフィー兄さん

矢郷第三帝国の逆襲、迎え撃つはウルトラ義兄弟タッグ…のはずが、ゾフィー兄さんは姿を見せず。まさかの事態に、三四ロビンセブンは「各方面からストップがかかったんじゃないか」と、一人で戦うことを決意する。
口から謎の糸を吐きながら襲いかかる矢郷マミー(?)。

「俺は、ストーンコールドの映画の宣伝部長になったのに、なんでこんなことしてるんだ!」
「それを言うなら、俺だって今日は地元で選挙があるんだよ!」

大人気ない。いや、ここまでくるともはや「見苦しい」(笑)。
そうこうするうち、矢郷マミー(?)が更に口から糸。これに目をつけたマイケルが、糸スリーパーなど糸を使った攻撃に。松井レフェリー、一瞬判断に迷うが、「口から出たってことは体の一部だ」との結論に達してノーチェック。まあ、MIKAMIのラダーも「衣装の一部」だもんね。
糸による絞首刑でエプロンに吊される三四ロビンセブン、絶対絶命…そこに鳴り響くウルトラマンのテーマ!ゾフィー兄さんだ!
華麗なニールキックに、長井満也そっくりの陸牙を決めるゾフィー兄さん。だが、程なくしてカラータイマーが点滅を始めてしまう。

「ごめんよ、三ちゃん。俺、地球上では三分間しか戦えないんだよ」

かくしてあっさりゾフィー兄さんが地球を後にすると、残された三四ロビンセブンへ矢郷マミー(?)が必殺の殺人コブラを決めた。
この結果により、11・29後楽園で伝説のYAGOプロレスが再旗揚げすることに決定。提供試合は、衛星生中継による「RAW IS YAGO」矢郷良明vs高木三四郎に決定した。

えーと。
せっかく新作「大人気ない」Tシャツが完成したのに、休憩中、三四ロビンセブンのままで売店に立つのはいかがなものでしょうか。Tシャツよりその格好のほうがなんぼか大人気ないんだもの。

5:
○フランチェスコトーゴ
(13分5秒‐首固め)
ポイズン澤田JULIE●

降って湧いたようにラインナップされた、DDT屈指の試合巧者によるシングルマッチ。会場の期待感もかなりのものだったが、現在孤軍の蛇界転生に対し、I4Hのチーム体制は盤石。イタリアン・インパクトこそかわされたものの、ササガバのイタリアンパウダーが直撃したところをトーゴーが一瞬で丸めこんでしまった。

うーん、もったいない。もっとちゃんと機運が高まった状態で見たかったなぁ。蛇界、ワンスアゲインの復活はないのでしょうか?

6:次期KO-D無差別級王座挑戦者決定ブランド対抗ロイヤルランブル〜完全決着ルール
石川修司
(13分33秒‐エビ固め)
タノムサク鳥羽●

入場順=
KYOHEI<CRUISER'S GAME>
石川修司<ユニオン>
趙雲子龍<新北京>
星誕期<DDT>
ペドロ高石<マッスル>
タノムサク鳥羽<ハードヒット>
円華<BOYZ>

11・29後楽園が全ブランド参加の“DDT SPECIAL”ということで、全ブランドから代表者が参加するKO-D無差別級次期挑戦者決定マッチ。
白熱する攻防戦、場内の声援は特に趙雲、円華、鳥羽らに集まったが、ユニオンの大黒柱・石川修司が圧巻のパワー殺法でロイヤルランブルを制した。

石川選手が挑戦者に決定したことは全く異存なし。あの強烈なパワーに飯伏がどう立ち向かうか、今から楽しみです。

ただし、1点。
たまたまなんだけど、客席付近で観戦していた某ブランド関係者の態度。せっかく各代表が熱戦を繰り広げているのに、終始ヘラヘラニヤニヤしてる感じだったのは、あれは何なの?
あえて皮肉を言わせてもらうと、こうやって各ブランドの選手がDDT本体で活躍してくれて嬉しいですよ。あんな態度を見せられたら、そのブランドの興行は見に行く気になれないもんね。
申し訳ないけど、そういう空気は身内の中だけで出してください。お願いします。

改めて、優勝した石川選手、おめでとう!会場にいた誰もが、次期挑戦者にもっとも相応しい選手だと、むしろ推薦したくなる試合だったと思います。タイトルマッチ、期待してます!

7:CMLL認定KO−Dタッグ選手権試合<王者組>○KUDO&ヤス・ウラノ
(20分33秒‐片エビ固め)
男色ディーノ石井慧介●<挑戦者組>

高木三四郎の連れてくる大人気ない挑戦者たちに全くいいところを見せられずにいた王者組。やっとまともな挑戦者を迎えて、3度目の防衛戦。
挑戦者組はやはり若手の石井がウィークポイントとして狙われ、徹底した左脚攻めにあってしまう。ディーノやセコンドの高梨、光留が必死に青コーナーから檄を飛ばすが、王者組は一点集中をさせたら天下一品だ。
しかし、ヤングドラマ杯優勝者として、今の石井には譲れない意地がある。ヤスに挑まれた張り手〜エルボーのラリーで奇跡の逆転を見せると、代わったディーノが男色殺法で獅子奮迅の活躍を見せる。
KUDOに的を絞ってディーノのファイト一発!から石井がニールキックを炸裂させるが、これはヤスがぎりぎりでカット。
驚異の粘りを見せた石井だったが、ヤスの雪崩式フランケンシュタイナーからKUDOのダイビング・ダブルニーアタックをまともに浴びて万事休す。あえなく3カウントを聞かされた。

試合後、石井の健闘を称える場内。その無念を晴らすべく、高梨が光留とのタッグでBHHとしてリベンジを申し入れるが、そこにI4Hのアントンとササガバも現れてやはり挑戦を表明。
これに対し、王者組のヤスは「どっちでもいい、次の後楽園でもいい」と返答…いやいや、この二組、今日の第一試合で直接対決してるし、後楽園はUWA王座戦があるんだよ?
場内が困惑する中、「後楽園が無理なら地方でやる」と宣言して王者組は退場。おいおい…。

丸投げされた2チームに、場内から「3WAYは?」と提案が。それだ!
というわけで、博多あたりでの3WAYタイトル戦が濃厚となった。

あー、やっぱり、このくだりは微妙だよ。
自分たちの防衛戦、その程度の興味しかないの?
この王者組にいまいち乗れないのは、結局のところベルトを防衛したその先にはっきりした未来像が見えないからなのかなぁ。
キツいことを言うと、防衛することそのものが目的に見えてしまう、というか。自分たちにとって気持ちのいい防衛戦ができたらそれでいい、んですか?
それじゃダメとも言い切れないけど、自分たちが「DDTの未来を作る」って発言するなら、やっぱそのビジョンを示してほしい…正直、今、それは見えないです。

あと、心なしかディーノがものすごい悩んでいるように見えたのは気のせい?
試合後なかなか去ろうとしない男色先生にはハラハラしちゃったよ。


というわけで、書いてる本人も意外な「感想編」に続く。

11・16DDT“God Bless DDT 2009”新宿FACE大会、雑感。

興行は面白かったですよ!
主に若手選手のがんばりが、試合のみならず興行全体のドライブ感に直結してたし、11・29後楽園の“DDT SPECIAL”に向けて、各ブランド代表がそれぞれに持ち味と存在感を発揮してたしね。


正直、飯伏vs伊橋がいちばんのお目当てで、あとはトーゴーvsポイズンが気になるかな…というのが、事前の期待度でした。
ところがところが。いやいやまあ。
第ニ試合の安部と高尾、第六試合の石川、鳥羽さん、メインの石井。みんな素晴らしかった!


取ってつけたような絶賛っぷりに見えるかもしれないけど、そうじゃない。むしろ、そう感じられてしまうくらい、この数ヶ月でDDTという団体は根本的な転換期を迎えてるんじゃないだろうか?
もしそうだとしたら、そのきっかけは、おそらくあのヤングドラマ杯なんだと思う。


今までのDDTと何が違っているかといえば、2つの楽しみ方が増えたということだ。
1つには、伸び盛りの若手による直線的で健全な「青春物語」としての要素。
もう1つは、それにより、特に前半戦にも興行全体の高揚感を直接刺激するラインナップが組まれるようになったこと。

これまでのDDTに最も欠けていたもの、それはもしかして、「素直さ」ではなかっただろうか(苦笑)。
正確には、「素直さをそのまま素直さとして提供する『勇気』」…かな。逆に言えば、DDTはそういう「飾り気のなさ」を徹底的に排除することで、ここまでのコアなマニア人気を獲得してきたのではないだろうか、という気がする。


ううん、違ってたらごめんなさい。何しろそんな昔から観てきたわけでもないから。
でも、そこまで外れてはいないとも思うんだよね。逆説的だが、この「素直さ排除」の流れがあったからこそ、あのマッスルという興行が生まれてきたんじゃないだろうか。マッスルというシリーズものは、突き詰めていくと(あるいはいかなくても)「プロレスラーになりたい汁レスラーたちの永遠のスラップスティック・コメディ」という軸があるのは明白なはずだ。
そう考えると、この仮定は、個別具体で差異はあっても、トータルではそこそこいいところを突いてるんじゃないか…と思ってしまったりする。


現に、「飯伏LOVEキャラ」だった安部、「改名キャラ」だった石井の、今のスタンスはどうだろう?ついこの間まで、新人は新人なりに「いかにもDDT」的なポジションを割り当てられていた。飯伏だってカンペなしではしゃべれなかったり、高梨やマイケルは言うに及ばず、柿本は出生ネタ、諸橋にも異常な兄弟愛…つまり、かつてはそうした「いかにもDDT」なキャラ付けをされることが、いわばイニシエーションとして存在していた、と、考えたくなる気持ちも、わかっていただけないだろうか。


それが、だ。
今や、安部以下の若手たちは、そのままストレートに

「立派な一人前のレスラーになりたい!」

という健全な意欲だけを武器に、ある程度戦えている。これって、実はすごいことなんじゃない?


そして、その結果、DDTの前座試合には今までにない「縦軸の統一感」が生まれている、ように感じる。
これまでのDDTの前座といえば、毎回の興行で少しずつ(そして時おり飛躍的に)展開するそれぞれのサイドストーリーが平行に存在し、一試合ごとのオムニバス形式とも言うべき興行デザインだった。
が、少なくとも今回のFACE大会“God Bless DDT 2009”は、それだけではなかった。第二、第三、そしてメインの第七と各試合にラインナップされた若手選手たちが、割り当てられたシチュエーションの中で、ただまっすぐひたすらにプロレスに取り組む姿勢を見せることで、興行全体にひとつの流れを生み出していた。メイン終了後に発生した「イシイ」コールは、そのグルーヴが頂点に達したことの証左だったのでは…?
そしてこの現象は、「横軸」による構成が基本だったDDTという興行に、「縦軸」という新しい座標が誕生(あるいは明確化)したという「事件」だったのだと思えてならない。


だけれども、だ。
それを手放しに喜べるのか、それでいいのか、というと、ちょっと違う気がするのも事実だ。

突然話は変わるが、2006年に、筒井康隆のSF作品が2作続けてアニメ映画として制作された。『時をかける少女』と『パプリカ』だ。
ちゃんとした根拠があるわけではないのだが、世間的には『時かけ』のほうが受けていた印象がある。「真琴は俺の嫁」とさえ言われていた記憶があるが(笑)、『パプリカ』については、そこまでハマったという声を聞いた覚えはなかったりする。


『パプリカ』の人気がどうというよりは、『時かけ』がなぜそんなに受けたのか、ということは、以前考えたことがあって、その結論は
「狂気や媚びのない、ストレートなヒロイン像が逆に新鮮だったからだ」
である(笑)。ハルヒだの、らき☆すただの、ひぐらしだの、という時代に、スキもキライもはっきりしない男友達との草野球をしている時間がなんとなく好き、という、「消費者に好かれるため」の操作を受けていないキャラクターの「素朴さ」「素直さ」が、意外にも「普通萌え」ともいうべきニーズを発掘したからだ、と。

↑こういうことを書くといわゆるアニヲタからフルボッコにされかねないからこのへんにしよう(苦笑)。


何が言いたいかというと、自分は『時かけ』より『パプリカ』のほうが圧倒的に好きなのだ。なぜなら、『パプリカ』のほうが、映像、音楽、ストーリーなどすべてにおいて、より「わかりやすく面白い」からだ。そのわかりやすさたるや、端的に言って『パプリカ』は「観るドラッグ」ですらあると思えるほど。
あ、余談ですが、まだ『パプリカ』観てない人がいたら、ぜひお勧めしますよ。うちのブログを読んでる少数の方、「DDT 観戦記」「神実況 ロフトプラスワン」「ゲデバニシビリ おっぱい」「力士のちんこ画像」などエキセントリックな検索ワードでご来訪くださるやや多数の方であれば、きっと楽しめることを請け合います。


閑話休題
で、ここから無理やり話を関連づけていく。


“God Bless DDT 2009”にひそむ正統派のビルドゥングス・ロマンに手もなく感動した自分が、一方ではやはり過剰なまでのエンターテイメントこそを好むという事実。
ここに、いわゆる「両輪」の存在を感じるのだ。長々と書いてきて単純な話だが、要するに「今までみたいなバカ騒ぎも好きなんですよ、大好きっ」ということ。


陳腐な着地点でこっ恥ずかしいんだけど、ただ、観戦記本文で指摘したような違和感は残念ながら厳然としてあって、それでもなおかつ「今日は来てよかった!」という満足感のほうが自分の中では強かった。
それは何故だ?というのがどうしても気になって、いろいろ考えていたらこうなった次第です。
あるいはその「違和感」の部分を拡大して弾劾するような文章を書くほうが、このブログ時代の雰囲気には合っているのかもしれないが(苦笑)、そんなものは何も生まないというのがそろそろわかってきたような気もしますのでね。


高倉仮面師id:Mask_Takakuraの言葉を借りると、

「人は文句を言うために試合を見ているのではない。幸せな時間を過ごすために見ているのだ」

ということです。


観戦記本文では語りきれなかった思いを述べていったら、こんな長文になってしまいました。結論は、

「俺はDDTが大好きだ!」

ということです。つまりはそういうことなんです。
最近急に寒くなってきたけど、これが暖かくなってまた暑い季節になったら、その時は両国国技館大会です。
ボヤボヤしてたら置いていかれてしまう!
食らいついていくぞー!


おわり
おわり