レイザーラモン。

悪夢、フォーッ!
いや〜。どうもどうも〜。どこからどう見ても毒虫!レイザーラモンGZです〜。
GZはもちろん、グレゴール・ザムザの頭文字ですよ〜。あまりにも伝わりにくいので、あえて自己紹介させていただきました〜。カフカ、フォーッ!

さぁ見てください、私のこの必要以上に黒光りしたこの肉体!触覚、羽根、フシだらけの足、完璧なまでの毒虫ボディですからね〜。
さすがにこの身体では腰は振れませんが、ベッドの下に潜り込んだり、天井を這いずり回ったり、ハードゲイ時代よりある意味パワーアップしてますよ〜!

セイセイセイ!私の家族!私を無視しないでくださいよ〜。毒虫は毒虫なりに家族を愛しているんですからね〜!
母親!気絶しないでください!
妹!どうして私を見ないふりをするのですか!
お〜っと父親、そのリンゴをどうするつもりですか〜?まさかこの毒虫の私に向かって…
セイセイセイ!わかりました〜。あなたのその父親としての想い、毒虫の私がすべて受け止めましょう!バッチコ〜イ!

素晴らしい一撃でした…リンゴが私のボディの奥深くにねじこまれましたよ〜。
お尻に赤のアクセント、フォーッ!
なんですかあなたは!家政婦?!その箒とバケツで私をどうするつもりですか!
ダメですよそんな!柄でつついても、私はもう死んでいるんですよ!

不条理、フォーッ!



・解説
昔(今でもあるのかな?)、2ちゃんねる文学板に、「文体模写スレ」というのがありました。カフカの『変身』の冒頭を、いろんな作家の文体でやってみるというスレです。
かつてボクは、村上春樹大江健三郎で挑戦して、知人を通してこのスレ当初からの住人の方に、「今までの春樹模写の中では一番いい」と褒められたのはいい思い出です。
でもねぇ。それを伝えてくれた友人が、「夕刊フジの風俗レポート調」とか、「昭和軽薄文体調」という傑作をものしていたわけですよ。あの敗北感ったら。

そんなわけで、感傷にひたりつつ、一気書きの「レイザーラモン毒虫調」です。
久しぶりにやると面白いな。最後は、もっとうまく着地できそうだけど。

あ。
「あの日の妹のピアノの音色、フォーッ!」って、今思いついた。これにしとけばよかったなぁ。