新生全日本のプロローグ…かな?

2006年9月17日、後楽園ホール
全日本プロレスの超人気チーム、RO&Dが解散。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/live/200609/17/index.html(大会詳細:sportsnavi)
先日の両国国技館大会での、ブードゥー・マーダーズ(以下VM)による新メンバーRO'Zの勧誘から、一週間にも満たない札幌大会での衝撃の引き抜き成功に端を発した今回の全面対決は、「負けたら解散マッチ」と銘打たれていたが…


RO&Dメンバーのブキャナンとディーロ・ブラウンが、試合終盤にまさかの裏切り。VMがまんまと「RO&Dの完全崩壊」を演出して、人気チームの3年の歴史に終止符を打ちつけた。
RO&Dのリーダー、TAKAは戦前に
「RO'Zを奴らが使いこなせるとは思わない。試合が終わるまでに奪い返しているかも」
RO&Dの結束に自信をのぞかせていたが、結果的にはその余裕が裏目に出た。あまりと言えばあまりに唐突なさらなる引き抜き攻勢は、TAKAやケアはもちろん、会場に駆けつけたRO&Dファンの想像も遙かに超えた事態だった。
「ガイジンはな、ビジネスの話が大好きなんや。見てみぃ、こいつら。ビジネスのこと持ちかけたらあっと言う間にワシらの側に来よったわ」
VM総帥、TARUはそう言って不敵に嘲笑ったという。戦力保証ずみの「新メンバー」を1+2人も加えたVMは、いまや総勢7人。
世界ジュニア王座をひっさげてこの日のメインで元三冠王者小島聡と激戦を繰り広げ、会場中のド肝を抜いた近藤修司。元来の抜群のパワーに加えてVM加入以降は試合運びも確かになってきた諏訪魔は、今回の事態の引き金となったRO'Zとの強力タッグで世界最強タッグ制覇や世界タッグ王座に色気を見せる。
新加入のブキャナン&ディーロは、現在欠場中の佐々木健介が愛弟子の中嶋勝彦と保持するアジアタッグ王座をいつでも狙えるだけの実績があるし、罵倒マイクがウリのbrother"YASSHI"は、先日の両国大会であろうことか森元首相に罵言を浴びせるまでのクソ度胸をみせた。


一方のRO&Dは。このタイミングは偶然か、それともTARUが狙ったのか…
太陽ケアは、奇しくもRO'Zが引き抜かれた札幌大会で鈴木みのる三冠王座を奪われた。全日本入門以来の悲願の王座戴冠から、川田利明との初防衛戦に勝利したのも束の間の歓喜。今のケアは失意のどん底にいることだろう。
さらに、TAKAみちのくはヒザのケガの悪化からか、因縁のありあまる世界ジュニア王座戦線から一時離脱の状態。その間に宿敵VMのジュニア王者近藤と互いに認めあうライバルのカズ・ハヤシとが、両国国技館大会で「この日のベストマッチ」と評される大一番をやってのけ、さらに近藤はその活躍が認められ、後楽園大会のメインイベントにシングルで登場。
「全日本ジュニアによるメイン獲得」
は、盟友関係にあるTAKAとカズの悲願だったもので、これが近藤のヘビー級挑戦というかたちで実現したことは、TAKAとしても決していい気分ではないだろう。
先ほど上でボクが「RO&D完全崩壊」という言葉を使ったのは、TARUが「もう、シマイや」と言っているだけのことではなくて、これらの事実の総合によるものではある。


さて、ここまで書いてはきたが、例によって、ボクはめげてはいないのだ。
と言うのも、http://d.hatena.ne.jp/pon-taro/20060914/で書いたグローバル・レスリング連盟の動きと、今回のRO&D解散劇が、無縁のものではないような気がするので。
このGPWAには、全日本プロレスとしては正式な参加/不参加は表明されていない。「興行丸ごとパッケージしてスポンサーに営業」という独自のスタイルを打ち出した全日にとっては、「団体または選手間の調整、各興行の運営を支援」することがどうやら第一義らしいGPWAとは、微妙なようで完全に別の立場になりつつある…ようだ。
と、言うことは、GPWAへの参加を表明したエル=ドラド(VMTARU、近藤、brotherら)、健介ファミリー鈴木みのる菊タロー、東京愚連隊などの全日準レギュラー選手たちは、今までのようには全日マットに上がれなくなるという事態も考えられる。そうなると、これまでの全日が組み上げてきたパッケージも、路線の変更や相関図の書き換えが必要になってくるのではないだろうか。これは、近いうちに全日マットに急変があるかも?


なんてことを考えていた矢先の、この事態。このエントリのタイトルが
RO&D解散!」
ではなく
「新生全日本のプロローグ?」
なのは、こういう妄想をしていたからなのです。
個人的にはTAKAのヒザがかなり悪そうだったりとか、3年目にしてRO&Dの待遇面(カード順とか)の不遇が目立ったりとか、そういうバックステージ側の「潮時」感も…って、いいか、それは言わなくて(書いたけど)。


話を妄想に戻す。
試合終了後もなお暴行を受けるTAKAとケアのもとに駆けつけたのは、武藤社長とカズ。かつ戦い、かつタッグを組んで全日本マットを盛り上げ続けた四者が、絶望的な情況であらためて邂逅した。今までの「ガイジンチームvs悪役集団」という軍団抗争は、一方の解散という終局をみて、また新たな局面を展開する契機を迎えた…と、今ではそう理解している。
GPWA傘下K-DOJO代表としてのTAKA、同エル=ドラドのTARU、近藤、brotherの去就、さらに後者については、新日本レッスルランドへの参戦という悪夢のような報もある。情勢は紛糾。全日本が用意する新しいステージを、今は静観するしかない。


では最後にひとこと。
俺の観てないところで解散なんてしやがって!RO&Dのバカヤロー!!