真王杯準決勝。

休憩前のNJKF本体の部分と、休憩後の真王杯準決勝とでは、全く違う興行でした。客の集中力がまるで変わるんだもの。あの空気の変わりっぷりは、まずスゴかったなぁ。
ま、NJKF本体は8位とか9位の選手くらいだったので…しかたないのかも。11月の決勝興行は、例えばNJKFミドル級王座戦とか組んでくるのかな?
チケットは当日開始10分前の時点でイス席売り切れ。立ち見で\3000。基本的に総合に比べて安いキックの中でも、これはさらに一段低価格。正直、この興行を観ないなんて信じられない設定だなぁ。さらに、フルカラー写真で作りもしっかりしたパンフも\500。合わせて\3500で、これまたお得。すばらしい!

  • 60kg準決勝第一試合

中須賀芳徳(OGUNI)180cm‐ラスカル・タカ(月心会)171cm●
ラスカルさん大ハッスル。戦前は「ま、中須賀でしょ」って感じだったし、序盤から終局まで終始ペースは中須賀側だったが…
身長高くリーチも長い中須賀の猛攻を受けながら、その制空権の内側に詰めきれずにいながら、最後まで粘りまくったベテラン・ラスカルのド根性が炸裂した感じ。十中八九の残りの一、二に、最後まで期待を持たせる好勝負でした。

  • 55kg準決勝第一試合

○米田貴志(OGUNI)177cm‐寺戸伸近(BOOCH BEAT)166cm●
寺戸くん!寺戸くん!あぁっ!寺戸くんっっっ!
以上。ボクは非常に悔しい!

  • 55kg準決勝第二試合

○藤原あらし(S.V.G.)164cm‐国崇(拳之会)168cm●
あらし!あらし!うぉおおっ!あらしぃぃぃっっ!!
ボクは、ちんまい上にさほど目ぼしい武器がなく、スタミナはすごいがなんか体力勝ちしてるように見えてたあらし選手のことは、実はあまり好きじゃありませんでした。反省します。
あらし、大好きだっ!(変わりすぎ)
いやぁ…考えてみれば、ボクの観る時のあらしは…「もうこうなったらあらししかいない!」というシチュエーションがあまりにも多すぎた。毎回、あらしには「がんばれ!」ではなく、「頼んだぞ!」という声を上げ続けてきたわけで。
今回もそう。ラスカル、寺戸と立て続けに全日本勢が破れ、対外試合で格上感を見せつけ続けてきた「全日本の威信」(日vsタイ5対5シリーズは考えないことにする)は失墜寸前。しかも、昨年キック界の大目玉のひとつであるJ-NET「MACH-55」でのこの両者の「藤原対決」(当時の国崇は藤原国崇。この試合での敗戦で改名)は、一瞬の縦ヒジであらしが国崇の額を切り裂いて勝利を収めたものの、内容的には100%国崇。100%に5%を上乗せした、その5%の部分だけで大逆転というまるでマンガのような展開だった。
しかししかし!今日のあらしはすごかった!
探りあいの1Rが終わって2R、ダメージこそなさそうだが国崇のきれいなパンチであらしがダウンを喫するが、文字通りこの一撃で「目が覚めた」感のあるあらしが、みるみるリズムを作っていく。
得意技である左ミドルを連射しながら小刻みに前後左右に動きまくり、出入りからミドルとワンツーあるいはボディを繰り返し国崇に叩き込み続ける。
4、5Rに入ってもあらしは全くリズムを変えず、防戦一方の国崇、あらしのミドルで右腕・右脇腹は腫れを通り越してすでにミミズ腫れ。ミドル、ステップ、パンチ、ステップ、ミドル、ステップ、ヒザ。まるで「あらし博覧会」のような一方的な内容は、国崇のリベンジを確信していただろうNJKFファンの期待と、あらしの惜敗を思わずにいられなかったボクの圧倒的な不安を、粉微塵に粉砕した。
結局5R終了まであらしのソロプレイは途切れることなく、判定は誰もが納得したであろう48‐47。「内容では完敗」だったMACH-55から一年、あらしが「事実上のリベンジ」を完璧なかたちで飾った。あらし!今日もありがとう!!

  • 60kg準決勝第二試合

○桜井洋平(Bombo Freely)180cm‐大宮司進(シルバーウルフ)168cm●
キック界でも屈指の大応援団を持つ両者、入場時からホールを揺るがす歓声が響く。
それでも大宮司側は、「俺らのアタマ、マー君魔裟斗の姿が見えないから、若干年齢層が高めな桜井応援団のほうが分がいいかな…と思っていたら、青コーナーリング下に、いつのまにかニット帽で今日もオシャレにキメたマー君魔裟斗)の姿が。「やばいっっっ!」と思ったのもつかの間、試合開始のゴングと同時に、西側席を埋め尽くした「チーム・シルバーウルフ」のダイグ・コールが爆発する!やっぱこの応援団はおかしいよ!
が、試合は一瞬。
開始早々に桜井のヒザで大宮司が身体を折ると、桜井応援団の歓声より速く、打ち下ろしの右ストレートがガラ空きの大宮司の横っ面にクリーンヒット!もんどりうって倒れた大宮司はカウントアウトぎりぎりで無理矢理立ち上がろうとするが間に合わず、和田良覚レフリーが試合を止めた。桜井秒殺!


55kg準決勝で盤石の強さを見せた藤原あらしだが、決勝の相手である米田との身長差は13cm。平均して身長の高いNJKF勢に対してバンタム級でも特に小柄なあらしは、どう戦うか…って、やっぱりあらしは左ミドルなんだろうけど。だが、米田の主武器はムエタイ王者・タップナーをも攻略した強烈なロー。食い合わせ的にはあらしと言えど油断は禁物。準決での安定感から観戦直後は「あらしの勝ちに決まってる!」と豪語したものの、やっぱ米田も強かったわなぁ………(嘆息)。
ひるがえって60kg、こちらは中須賀には申し訳ないが「桜井はどこまで強いのか」を確認する一戦になりそうだ。敗れた大宮司マー君から「ファー付きガウン」を許されるのはまだ先のようで。


やはり、この「真王杯」の面白さは期待通りで期待以上。トーナメントが進めば進むほど純正NJKFの試合が増えて興行としての安定感が減衰するという(NJKFファンの方ごめんなさい)矛盾はあるが(苦笑)、開幕戦、準決勝のエネルギーがついに臨界する決勝の盛り上がりは、今から保証できると思います。
いやー、面白かった!!