人生初修斗。

現代に修斗という総合格闘技があり、業界内での確固たる地位と独自の環境を備えた国内随一のプロモーションであるってことはかねがね聞いてました。
マチュアからプロまでの一貫した体系、整備されたランキングシステム(今回、なんかブレたっぽいけど・後述)、そうした堅実な体制のなか、優れた技術を持つファイターが公平かつ平等に技量を競い合う格闘競技。
これが、21世紀からプロレスファンになった修斗未見の三十男の修斗観であります。
  だがしかし。
まさにそういう「This is 修斗」な感じが、自然と修斗にたどりつく善良な格闘技ファンでない自分には、
修斗さんは修斗さんでやってんですよネ」
みたいな感覚をもたらしていたのです。っつーことで、今回も修斗が開催されてるなんてちーとも知らず(またkamipro‐handを解約したので)、新木場にエルドラドを観に行くつもりでした。
  だがしかし(二回目)。
よりによってエルドラド好きのはずの高倉仮面師id:Mask_Takakuraから
「新木場はビンボ臭いから修斗行こうよ」
とお誘いを受け、飯田橋の乗り換えの時点まで迷った末に、なぜか修斗に行くことに決めたわけです。


詳しい観戦記はそれこそ上記高倉仮面師が(いつかきっと)書くだろうし、まぁスポナビとかバウレビがあるだろうからそっちに丸投げ。ていうか俺の試合レポとかどうせたいしたことないしね。
それでも、Aクラスの上田選手、門脇選手は観てて気持ちよかったです。あと、フライ級新人王Tの山本選手もよかった。しかし、なぜムエタイトランクスだったんだろう?異彩を放っててよかったけど。


で、ですね。
今回書きたいのは、いわば修斗ファンへの恨み節です。どうして、あんないい興行をデザインできるプロモーションを、もっともっとアピールしてあげないの?と。
ガチ興行で演出などが充実していると言えば(地上波系を除く)よく全日本キックが話題になるけど、正直、全日本キックより修斗のほうが興行の華やかさとか、演出の趣向は凝ってるんじゃないかなぁ。初見だから目新しかったっていうぶんは割り引いたとしても…


修斗ファンが普通に修斗の魅力として興行の華やかさを語るところを今まで聞いたことがないのが不思議でしょうがない!!


くらい、修斗Aクラスという場の空気は、主催側が一生懸命デザインした、プレミア感にあふれた空間だったと感じました。
あれだけ音・照明・映像を駆使してるってことは、主催側はきっと観衆に盛り上がってもらいたいんだと思うんですよ。なのに、何あの静かな会場。もったいなくない?
贅沢だと思います。あの空間を、今の修斗ファンに独占させておくのは。
試しに、全日本プロレスのお客さんをあの会場に連れていってみたい。興行はそのままで、観客席をすっかり入れ替えてみたい。
きっと、すげぇ盛り上がると思うんだよなぁ。


選手のレベルは高い。
興行の質も良い。
なのに修斗が現状レベルの認知度しかないというのは、こう考えると明らかにファンのせいだと感じました。
責任がある、とまでは言えない。けど、今の修斗に群がるファンのせいで、例えば今回、カリスマ・佐藤ルミナの復帰戦でも超満員にしてあげられなかったと思う。
修斗の興行は、間違いなくそういうレベルだと思います。十分、よく格ヲタが口にする「一般層/ライト層」にも通じるというか、少なくともその層に対して冷めきっている格ヲタとは比べ物にならないくらい、修斗というプロモーションはしっかりと迎える用意をしてくれています。


以前から総合ファンの「熱のなさ」はわかっていたつもりだけど、今回はそのあまりの被害に戦慄さえ覚えた、と言えます。
そりゃ、PRIDEという花舞台、HERO'Sという花舞台に飛び立っていった、宇野や五味、川尻、石井、青木、その他外国人も含めて、選手たちは責められない。選手の努力と主催側の努力、それらの精華としての興行という舞台において、修斗ファンはあまりにも冷淡だと。
それは、修斗という興行にとっても、総合格闘技というジャンルにとっても、すごく不幸な光景に見えました。
もったいないなぁ、修斗。あんなに面白いのに。


ずいぶんと断罪的なことを書いてしまいましたが、
修斗はその競技性が確実で誠実で堅実だという点で評価されるべき。それ以外の要素を競技興行の評価基準に持ち込むのは不純でアル!」
という考え方も、それはそれなりに一理あるとは思います(なんて贅沢な発想だ…)。
が、それが崩れたシーンが今回現出したわけで、上でちょっと触れたやつですね。ルミナの試合(後)。
以下妄想フィルター・オン。

未知なる強豪外人選手を戦慄のヒザ蹴りで降した、復活のカリスマ、佐藤ルミナ
「帰ってきたぞ!ここ後楽園は、俺の会場。俺は王者に挑戦する!!」
沸き返る場内。しかし、後楽園を埋めつくした観衆の目に、この場では見えるはずのなかった輝きが映る。修斗世界ライト級王者のリオン武が、自信と誇りを象徴するそのベルトを肩に、ゆっくりとリングに歩み寄る姿が!
「ルミナさん、復帰おめでとうございます。自分は、挑戦、受けていいっスよ。やりましょう。あなたは、自分が修斗を始めたときからカリスマでしたからね」
今は俺の時代だ、とばかりに言い放った王者の発言に、どよめく場内。そのざわめきを切り裂くように、
「ただいま、修斗コミッションから認定の意向が出されました!佐藤ルミナ選手の、世界タイトル挑戦が決定となります!!」
秒殺KOに続くビッグサプライズ、カリスマ・ルミナのこのうえなく輝かしい復帰を祝福するために、暖かくかつ熱い歓声がホールを充たす。
そんな中、ルミナは、やや戸惑いつつも
「ホントにいいのかよ?(苦笑)…ランキングとか大丈夫ですか?まぁ、詳しくは会社と相談して。OKなら、やります!」
と締めると、客席からは万雷の拍手が巻き起こった。

これは何のプロレスだ、と(笑)。大幅に脚色はありますが、おおむねこんな感じでした。
言い出したルミナ自身が困惑してましたが、俺も「修斗ってこういうのもアリなん?!」と。面白かったですけどね。
肝心の試合は、半ばダウン(中腰)状態の頭部への膝によるカット→流血によるストップだったので、うるさいことを言えば疑惑っちゃあ疑惑なわけですが、この勝利も王座挑戦も含めて、「俺らのルミナ」な空気に包まれまくったセミの空気が圧巻でした。
ほんと、ルミナだけ突出しすぎな気がします。


で、メインのBJ‐漆谷はスタンドでの攻防が目立つ、キックファンとしては見やすい試合に。
その中で気になったのは、中盤以降BJ選手が組みつきを多用し、特にコーナー付近での差し合いが頻出したってことですかね。
立ち技競技ならクリンチ→イエローもあり得たかと思うけど、総合の場合は「倒すつもりだから!」ということで見極めがつけにくいなぁ、と。漆谷選手はやりにくそうでした。


なんか最後だけ真面目(?)に書いてお茶を濁したような感じだけど、このへんで。
修斗、面白かったです。