4・7奉納プロレス「大和神州ちから祭り」

pon-taro2007-04-08

暖冬〜花冷え&雨の影響で、肝心の桜は五分花:五分葉の状態。残念ながら「花見!」っつー気分にはなれませんでした。
しかし、靖国神社ってとこは、いつ来てもすごいね。おじいちゃん達が同窓会みたいなことしてたり…
今回は、大鳥居をくぐるなり「同期の桜」が聞こえてきました。女声で。進んでいくと、大村益二郎の足元で「はいからさん」でお馴染みの女学生ルックの女性コーラス隊が歌ってたわけです。
超違和感。あまり女性に歌ってほしくはないなぁ。

  • なぜあなたがここに?!

靖国神社には参道の途中に酒類やおでんを売る休憩所があるのだが(ちなみに個人的に大好きなスポット)、そこになんと先日引退した


小林聡元選手


の姿が!
予想外の出会いに思わず二度見してしまったが、(若干ものものしい)お連れ様となにやら真剣そうな話の最中だったので、声はかけられず。そういやプロレス好きらしいから、ちから祭り観に来たのかな。
とにかくびっくりした。元気そうでした。

  • 相撲場とは

靖国神社を奥へ奥へと進み、本殿前を右に曲がると遊就館。その遊就館を横目に見ながらさらに奥に入ったところにありました、靖国神社の相撲場。
…母校(除籍になったH大学)の真裏じゃねぇか!!単純に、靖国神社の敷地の広さにびっくりです。あのH大裏の壁は、ここの壁だったのか…在学中には知らなかったぞ。
ていうかボアソ(略)タワーはやっぱデカいなぁ。こんな近く(裏からだけど)で見たのは初めてだ。在学中に基礎工事が始まったんだよね。

  • というわけでいよいよ興行開始…の前に

若干開場が遅れてのスタート。入った時には「ちびっこプロレス教室」みたいなことをしてました。
その後、いかにも「奉納」らしくリングの「お清め」や国歌斉唱(ていうか有り様としては国旗掲揚だったと思う…どっちでもいいっちゃあいいけど)など。

ダークマッチは車冬次郎‐ガチャピン
なりきりまくりの冬次郎はともかく、ガチャピンは相変わらずキャラクターを全く理解していないようす。ガチャピンが「首かっきり」しちゃいかんだろ…
ネタ満載の冬次郎に対し、愛嬌もクソもないパワーファイターのガチャピンがやりたい放題で試合終了。ズタボロにされた冬次郎は
「リングサイドのお姉ちゃん、俺っちの試合どうだった?」
「素晴らしかったわ」
「そ、そうかい?じゃあ、俺っちと結婚してくれよ!」
「それはごめんなさい」
「それを言っちゃあおしめぇよォ〜!」
ダダ滑り。
五分散り桜に低めの気温、半ば沈んだ夕陽とスイングしないネタ試合。
誰か、ガチャピンに「そうじゃないよ」と教えてあげる人はいないものか。

  • 数年ぶりの女子プロ

夏樹☆たいよう&前村早紀組‐Hikaru&高橋奈苗のタッグマッチ。
天井が極端に低いうえに大型ライトがいくつもつり下がっているせいもあってか、飛び技はミサイルキックがほとんど。
掛け声も「ヨッシャイクゾォー!」系ばっかりで、試合は単調なイメージが最後まで崩れず。
4人のなかでは、夏樹☆たいようが一番存在感があったように思う。それでいいのかHikaru?!

浪口修&高西翔太‐菊地毅谷口周平。これなら安心してビールを買いにいけるというものだ。
が、売店はどうにも非効率。ドリンクと焼き物(あっと言う間に売り切れた串焼き&フランクフルト)と袋物のお菓子それぞれで別々に会計できるようになっているものの、その旨を伝えて誘導・整理する意思がまるでなし。
飲み物が買いたいだけなのに、意味不明なフランク待ちの列に並ばされて待たされた人、いっぱいいたんだろうなぁ。ちゃんとしてくださいよ。
結局、買い物を終えて戻った時には試合が終わってましたとさ。
自らのダイビングヘッドバットで側頭部から流血した菊地が、旭日柄のタイツについて試合後に
「ここではこれを履く意味があったと思う」
とコメントしたそうだが、ある意味で物騒な発言だなぁ、と。本人はそのまんまの意味で言ったんだろうけどさ。

  • 金網の貴公子、リングに登場

地上波でケージフォースも放送され、認知度も上がったと思われる門馬秀貴が、なんとこのちから祭りに参戦。個人的に最近しょっちゅう見掛ける澤宗紀と組んで、関本大介佐々木義人と対戦。
上井ステーションでのデビュー戦で高評価を得たという門馬、金網で見せる組み技師のイメージとはまるで違った「格闘プロレス」の基本のような動きから、なんとフランケンシュタイナーまで披露。終盤には腕十字狙い〜オモプラッタ、さらにはその体勢で相手もろとも回転するローリング・クレイドル!
いやぁ、やるじゃないですか門馬さん。本人的にどれぐらいやる気なのかはわからないけど、継続してプロレス参戦するなら大歓迎です。ハイ。
そして「俺たちの」関本大介は今日も大人気。贅沢は言わない、あと20cm身長があれば(笑)、熱望する中西戦は文句なしにドームのメインでIWGPを賭けられる一戦になると思うんだよなぁ。その場合、「中西かよ」ってくらいにさえなるかもしれないが。
とにもかくにも、この関本&義人組は良いタッグだと思うです。義人がもうちょい頑張れば。

  • 例のアレ

奉納プロレス名物・酔拳使いの王拳聖が、今年はジークンドーの石天龍と対決!
んが、今回は酔拳軍団は帯同せずちょっと残念。
しかも、石天龍が試合中に足か何かを痛めたらしくさらに残念。
最後はヌンチャク対謎の武器(ヒモつきの小剣?のような。「九節鞭」というらしい)から、何気無い石天龍の中段蹴りでごくアッサリと(しかも唐突に)勝負がついてしまって残念無念。
なんだったんだこの出し物は。
こういうのをやるなら、変にアクション素人を使うんじゃなくて、JACとかの本物のアクション俳優を呼んでちゃんと殺陣を組んでやってもらったほうがいいなぁ。
マッスルのゴジャ松‐虎龍騎みたいな、グダグダ試合をニヤニヤとヲチするようなものは、さすがに「奉納」すべき素材じゃないよ。なまじ「やりたいこと」が見えるだけに、「手抜き」にしか見えないというか。

  • この悪役も神前に捧げます

日高&藤田&高岩組‐ディック東郷折原昌夫&マッチョ☆パンプ組。ファー・イースト・コネクション(FEC)は初めて見たけどカッコいいなぁ。さすがは東郷さんだ(やはりそこか)!日高は元FECだそうで、折原のスパイダージャーマンに串刺しドロップキックを合わせるなど手の内を先読みする好試合に。
んが、せっかくの東郷のシルバーブレットやダイビング・セントーンも、異常に低い天井のせいで今イチ冴えきらず。自分予想では高岩に頭から落とされるとばっかり思い込んでいたのだが、それが実現しなかったというのがせめてもの救いだったかな。逆に言えば、高岩がまるで働いてなかったってことなんだけど。
試合後、日高とやり合った東郷さんが対決をアピール。日高&藤田組‐東郷&X組は観たいぞ!

  • 帝王はバカ外人がお好き

大森&村上和成&神風組‐高山&佐藤耕平スティーブ・コリノ組がセミファイナル。
試合後のコメントによると、高山さんはいたくコリノを気に入ったご様子で(笑)。
最初のうちは遠慮がちだったコリノ、試合が進むにつれて観客を巻き込みつつバカ外人っぷりを全開に。ノーフィアー対決に割り込んだのは贅沢な仕掛けだけど、せっかくの「ちから祭り」なんだから、前半戦でノビノビとバカ開放なファイトを見せてくれてもよかったような。
来年あたり、経験を積んだ門馬さんとのシングルなんてどーですか?

  • プロレスファンは気が長い

若手ヘビーの中でも期待値の高い崔領二が、メインで大谷晋二郎とシングルで対決。
大谷は極端にヒザが悪いらしく、崔はヒザ攻めでどちらかといえばジックリとした攻防に。
シドマスを2パターン披露した崔だったが、名物・顔面ウォッシュに袈裟斬りチョップ&ダイヤモンドダストというリスペクトムーブを繰り出した大谷が、ドラゴンスープレックスで3カウントをものにした。
それにしても、大谷の人気は、もうゼロワンに注目してないプロレスファンの想像を絶するんじゃないかな。何あの大歓声。
何人何組もの芸人とか歌手が一発屋として累々たる屍の山を築くのが普通のエンターテイメント業界の中で、この大谷(さらには団体NのM社長とか団体ZのM社長とか)みたいに「ファンの記憶」が絶対的な力を持つプロレスというジャンルは、やっぱ特殊な世界なんだなぁと実感。そういえば、海の向こうではジ・アンダーテイカーがWMで王座に就いたそうで。
そう考えると、DDTとかマッスルみたいに毎回毎回手を変え品を変えしてファンの意表を突き続ける興行スタイルは、よほど異質なんだなぁ…と、新参プロレスファンの自分などはそう思うのであります。

大歓声の中マイクを取った大谷は、「ちから祭り」実現に尽力していただいた関係各位と会場のファンに感謝の言葉を述べ、ゼロワンが新たに打ち出した「いじめ・自殺撲滅」を高らかに宣言。
そして、大谷は久々に「プロレスの教科書」を引用すると、締めは崔に譲り
「3、2、1、ゼロ、ワーン!う〜、MAX!!」

  • ぶっちゃけガッカリしたのです

結局、大谷が実施したこの興行は、「ゼロワン靖国大会」でしかなかったな、という感想。実際、大谷は何度も「靖国大会」と口にしていたし。
正直、この大会が「プロレス」として「奉納」されたというのは…ゼロワンに対して思い入れのないプロレスファンとしては非常に残念。この感覚、わかってもらえるだろうか。
「プロレス」にはノア(出てたけど)や新日のいわゆるメジャー団体、固定ファンの支持の高い大日本(出てたけど)やDDTのような高評価インディー団体もあるわけで、そうしたいろんなプロレスがあることを真っ向から無視して、「ゼロワンの興行」を「プロレス」として「奉納」しておいて、「大和神州ちから祭り」とはよく言ったものだ、と、憤りのままに言葉にすればそういうことになる。
大谷が、崔が、大森が、つまりはゼロワンが今のプロレスを代表しているとはとても思えないが、そのゼロワンが、大谷が、支持者を集めて声高に「プロレスの教科書」を奉納とは、やってくれたものだ。ゼロワンファンには申し訳ないけどね。
もうちょっとこう、何とかならなかったのかな。何とか。
境内の桜が半分散ってしまっていたのは…気候の影響か、何らかの天意か。靖国神社を後にした帰り道、降りだした冷たい雨に濡れながら、苛立ちのやり場に困ったのでした。
後味の悪いまま、おしまい。