DDTビアガーデンプロレス・ベルトハンター×ハンターDAY(その1)。

本日は「闘うビアガーデン2008」選手プロデュース興行最終日、ベルトハンター×ハンターDAY。


「中澤マイケル肛門爆破デスマッチ」や「キングオブストックホルム2008ロイヤルランブル」など、タイトルでは何が行われるか想像不能なカードや、昨年のビアガーデンで開催された「怪談・新沼袋デスマッチ」の第二回が帰ってくるなど、客が酔っぱらっているのをいいことに、やりたい放題やらかす気分が横溢している。
こんな代物を見るために、会場に詰めかけた物好きは総勢559人(主催者発表)。日本の総人口の約20万分の1にあたる我々を迎えた新木場1stRINGのリング上には、すでに怪談朗読用のテーブルが設置されていたのだった。

  • 第一試合「帰ってきた!怪談・新沼袋デスマッチ」

この試合は、開始後5分経過の時点で決着がついていなかった場合、自動的にリング内に設置されたテーブルで怪談が朗読される、「身体はデカいが心はめっちゃ弱い」((c)マッスル坂井)というプロレスラーにとって、まさに死と隣り合わせの危険なルール。


まずは場内に「エンター・サンドマン」が鳴り響き、マッスル坂井男色ディーノ、タノムサク鳥羽がビールを浴びたりタバコをふかしたりしながら入場、次々とビールを開け、飲み干し、まき散らした時点ですでに会場の興奮は一度めのピークを迎える。坂井は本当にサンドマンネタが好きだなぁ。
続いて、昨年同様、心霊研究家の今林久弥氏が入場。リング内のテーブルへ着席。


試合開始、ビール缶でのド突きあいを始める三者だが、どうにも腰の据わりが悪い。よく見ると、三者の腰からはピンク色のコードがはみ出しており、強度調整のダイヤルのついたリモコンが…どうやら、三人とも尻にピンクローターを装着してこの試合に臨んでいるらしい。
互いの攻撃という外からのダメージと、体内から突き動かされるローターによるダメージの挟み撃ちに悶絶する三者。しかし時計は無情に進み、ついに怪談朗読カウントダウンが始まってしまう…


怪談のタイトルは「天城峠」。今年は、心霊研究の大家である稲川淳二氏のテキストを使うようだ。

とある番組で、天城峠へロケに向かった稲川氏。ロケ用の機材を搬入するとすでに夜、ロケ班は、機材を見張るための3人のスタッフを残していったん下山し、ロケは明朝から行われることになった。
しかし夜半、急用により、3人のうち2人が下山。ロケ地の山中の小さなテントには、たった一人、ディレクターだけが残された…

しばらくすると、ディレクターは、テントに向かって歩いてくる足音に気がついた。
「カサ…カサ…カサ…」
ああ、帰ってきたんだな。用事は済んだのか。
「カサ…カサ…カサカサ…カサ…」
早く上がってこねぇかな、一人じゃさすがに怖いもんな。
「カサカサ…カサカサカサ……カサ…カサカサ……」
ん?おかしいな?
ディレクターは、テントに近づいてくる足音が、妙に多いことに気がついた。
「カサカサ…カサカサ……カサ…カサ…カサカサ…ブルブル……おおぅ…」

いつのまにか、怪談を朗読する今林氏の手にも、ピンクローターのリモコンが握られていた。

「カサカサ…ブルブル…ああぅ、ブルブル…」

「やめろやめろ!」
マッスル坂井が、今林氏をどついて朗読(?)は強制終了。
「なんだよー、せっかくいいところだったのに」
「お前、リング上でみだらな行為してんじゃねえよ!」
「お前たちばっかり気持ちよさそうなことしてさぁ、俺だってうらやましかったんだよ」
「ちゃんとやれよ!もう一回…『カサカサ』のくだりからでいいから」
「はいはい、わかったよ」

「カサ…カサ…カサカサカサ…何人もの足音が近づいてくる…カサカサ…ブル…カサ…ブルブル…あぅ…ブルブルブル…ああっ!」

坂井、ふたたび今林氏をどつく。

「わかったよ。だいたい、この怪談、長いんだよなぁ。だからオチだけ言うわ。そのディレクターがテントの外を覗くと顔があって、その顔をよく見ると…その顔はお前だーっ!」

絶叫とともに指をさされ、坂井はショックで倒れ込んでしまう。

「ディーノ、よく聞け…テントの外の顔は…お前だーっ!」

ディーノもショック死。

「鳥羽さん!鳥羽さん…その顔は…お前だーっ!」

これで選手3名は全員死亡。

「うひゃひゃひゃひゃ…ねぇ、松井さん…いいですか、テントの外の、その顔は…お前だーっ!」

ついにレフェリーの松井さんまで犠牲に。

「おい、お前ら…お前ら…おい、おい、おい!その顔は…その顔は、お前らなんじゃーっ!」

完全に大仁田厚という悪霊にとり憑かれた今林氏。会場に鳴り響く、大音響の「ワイルド・シング」。

「オイ、お前ら…オイ、オイ、お前ら…その顔は…お前らなんじゃーっ!」

リングサイドに殺到し、マットをバンバン叩く観衆に、絶叫しながらペットボトルの水をぶち撒けてまわる今林氏。

「お前らじゃー!お前らなんじゃーっ!…なんで、人前でピンクローターなんか突っ込まなきゃいかんのじゃーっ!」

2リットルのペットボトルが、次々と空になっていく。用意された3本のボトルを渡すと、こっそりと退場していく選手3名&松井レフェリー。

「家に帰れば、俺には6ヶ月の息子がいるんじゃーっ!」

気がつけば、リング上には今林氏たった一人。

「ワシ一人かーっ!聞いてなかったぞーっ!お前ら、もういいだろうーっ?!」

一転して追い込まれた今林氏だが、「ワイルド・シング」は鳴り止まず、観衆もマットを叩く手をまるで止めない。

「お前じゃーっ!お前らじゃーっ!お前らなんじゃーっ!!」

ズブ濡れ、ヘトヘトになって席に戻り、思わず
「疲れた…」
と口にした俺に、同行者のマイミクmasaki君は
「だったら行かなきゃいいのに」
と一言。なるほど、その選択肢には気づかなかった!


あまりにも長くなったので、第二試合以降は次のエントリに。
素晴らしい空間であった。