今日はみなさんお待ちかねの相撲の話題。

4日目終了、といういくぶん中途半端なタイミングですが、書きたくなったんだから仕方ない。
初場所はなんか妙な渦みたいなのが見える気がして面白いですよー。
というわけで、私的注目力士別におとどけします。4日目の取組順で。なお、文中の「今日」は4日目の意味です。


豊真将(3勝1敗)
昨年なかばから不調続きで、気がつけば幕内下位という、自分イチオシのはずの豊真将
初場所はなかなか良さそうだ。今日は特に、玉鷲の強い出足を組み止めてから、丁寧に守りつつ巧みな体さばきで一気に寄り切り。豊真将のいいときの相撲が出た感じ、かな。
ほんとにイチオシ(話題の力士はあえて推さずに、好き、で留めるのでw)だから、今年は復活〜飛躍の年にしてほしいなぁ。


栃煌山(4勝)
あら、勝ちっ放し。栃煌山は波がすごいねー。勝ちも負けも二桁、ってくらいのイメージだ。
将来を考えれば星勘定を安定させられるようになるほうがいいんだろうけど、これで今場所激勝ちして来場所また大凹み、みたいな感じでバラつくようでも、それはそれで面白いなぁ…なんて(笑)。
とにかく「勝てる」ってことはいいことだと思うので、がんばってもらいたいですね。


栃ノ心(3勝1敗)
あんまり注目してなかったけど、今日の岩木山戦はすごかったなー。豆タンクって表現がぴったりの岩木山に、がっぷりから押しまくられても真っ向から食い止めてド迫力の下手投げ!
いやいやびっくり。これからもっと気にしてみようかな。


鶴竜(3勝1敗)
内モンゴル勢の中では最若手…かな?たぶん。
下位時代の安馬(現・日馬富士)を思わせる、正面からの当たりで正統派の相撲が持ち味。眉のあたりに根暗さがべったり見えてるところも似てるな(笑)。
安馬より大きいとはいえやはり幕内力士の中では小柄なほうなので、今後どうなっていくかが気になるところです。外国人力士としては、この鶴竜と、今は幕下に下がっている春日王(韓国)が注目ですよ。


北勝力(3勝1敗)
幕内でただ一人、我が地元である栃木県出身。応援はしてるんだけど伸び悩んでるよねー。
今日は、組んだらしつこい高見盛を強烈なテッポウで吹き飛ばして完全勝利!懸賞金もいっぱい入ってよかったね(笑)。


豪栄道(3勝1敗)
「ザ・期待の新鋭」ゴーエイドー。まさか豊真将より安定するとは思ってなかったなぁ。意外と小回りが効くゴーエイドー、今日は一瞬の隙に手繰って回り込んで完勝。
「日本人力士再興」の気運はすでに盛り上がってるから、今は相撲も取りやすいのかな?なんにせよ、ゴーエイドーが勝ってると安心するので、勝ち越しといわずもっと上を目指してほしいな。


豊ノ島(2勝2敗)/安美錦(1勝3敗)
今、ひょっとしたら二番めに面白いかもしれない日本人対決(一番はもちろん千代大海稀勢の里・笑)。今場所は豊ノ島が勝った。
キリッとした面構えに似合わず嫌らしい取り口の安美錦が小うるさく暴れかけるも、笑顔の下に腹黒い本性がスケスケな豊ノ島がうまく崩してからはたき込んで勝負あり。
ちなみに、雅山と一緒にジャンクスポーツに出るときの豊ノ島は、鉄板の面白さですな。


琴欧洲(4勝)
現段階で「今場所の一人」を挙げるなら、間違いなくこの人!
琴欧洲は、大関昇進直前が一番強かったと思うんだけど(苦笑)、今場所は、その当時のスケールの大きい相撲が戻ってきた感じ。
腰をずっしり沈めて重心をとびきり低くとりつつ、上背を利してまわしをガッチリ引きつける体勢は…何年ぶりに見たかなぁ?こうなると、四つならもちろん、両上手でももろ差しでも関係ないんだよね。ビクともしねぇんだもん。
ただ、軽い怪我(落ち損ねて足首ひねった、とか)くらいでコロッと調子を落とす危うさも備えてるんだよなぁ(笑)。
だけど、ここまでを見るかぎり、あの強い琴欧洲が帰ってきた!って印象は十分だね。今場所の上位陣で、存在感を見せたらかなりオイシイぞ!


日馬富士(4敗)/稀勢の里(1勝3敗)
あらららららら?!あれよあれよという間に4連敗かぁ…。
解説の芝田山親方も言ってたけど、新大関としての気負いが完全に悪いほうに出てる。動きが固いうえに、下半身がガタガタって、そりゃあ日馬富士の体格で動きがダメなら勝てないよな。
あ、これでも、かつての安馬にはかなり早い段階(幕内に上がったくらいのころ)から目をつけてたんだけどね。でも…世間が注目し始めたあたりから、この人にとっての壁の高さと厚さがはっきりしてきたような気がするんだよなぁ。
「家賃が高かった」なんて言わせないでくれよ?実は今でも…なんだからさ。
対する稀勢の里は、上でも書いた「日本人力士再興」の旗頭でもあり、持ち前の負けん気(イバラキ元ヤンの地金、とも言う・笑)で千代大海朝青龍とのメンチ切り合いも極上、という、普通に考えたら、今いちばん面白い力士。
相変わらず地力が安定しないのか3敗と出遅れたけど、日馬富士を破った今日の結果がスプリングボードになるか、どうか。
「あと全部勝てば12勝だぜ」って言いたいなぁ。そういうレベルに、早くならなきゃいけない人だよ。稀勢の里は。


把瑠都(4勝)/魁皇(3勝1敗)
魁皇残念…
この大関は、もはや黒星のひとつひとつが見てるこっちの心に突き刺さってくるなぁ…。パンクラス伊藤崇文選手に胸震わされる人なら、魁皇の相撲は見るべきだ。なんと言っても、魁皇は今でも大関なんだから。
その魁皇と胸を合わせて寄り切る「東欧の悪魔」把瑠都の強さがとにかく目立ったし、逆に、その把瑠都の寄りを一度はしのいだ魁皇に凄みの底光りを見た気もするし。
魁皇関の相撲を見届けるのは、今の時代の相撲ファンにとっての神聖な義務だ。


白鵬(4勝)/琴奨菊(4敗)
琴奨菊が不十分な体勢ながらもがぶり寄りにいって「あわや?!」と思ったものの、ビクともしない白鵬がまるで朝青龍のような上手投げ!
うぎゃー、ここまで力が違うか…「豊真将の他にもう一人の名前を挙げるなら」って聞かれたら、琴奨菊なんだよ。うーん…。
白鵬はアレだね。往事の朝青龍並みの迫力が出てきたね。たぶん、毎日意識してるんだろうなぁ。


朝青龍(4勝)
この勝ちっ放しは、天使のご加護か悪魔の業か…なーんて言いたくなるくらい、連日薄氷を踏むような内容ながらも、結果としては初日から4連勝!
今日も、雅山に頭からぶちかまされて大きくのけぞりながら、執念としか言えないような土俵際の悪あがきで紙一重の白星。内館牧子が入れ歯ガタガタいわせたり、やくみつるがハゲ頭かきむしったりして口惜しがってるかと思うと、気分はもう最高だ!(爆笑)
本当に、なんだろうなぁ…。
琴欧洲に正しい波が来てるとするなら、その反動を全部ひとりで引き受けて、その負のエネルギーでふくれ上がってる感じ。
強くはない。状態も悪い。相撲なんていいところがひとつもないのに、まるで負けないってどういうことだよ(笑)。
この人智を超えた「まがまがしさ」すら感じる不気味かつ圧倒的な生命力で、終わってみたら結局
朝青龍が独走で全勝優勝!」
なんてことになったら…なったら…
ダメだ。想像を絶するとは正にこのことだ!!


というわけで、初場所はなんだか魔界のような空気さえ漂ってます。
朝青龍が2敗するまでは(あるいは唐突に完全復調しちゃうwいやほんと、そうなりかねないよ!)、まだこの違和感を楽しむのも間に合いますよ!
まいったなぁもう。すげー楽しいわ(笑)。




付記。2006年3月の、ウチの記事から。

2006-03-03
■[相撲]魁皇関…

ワーストタイとなる9度めのカド番を迎えてしまった、大関魁皇の談。

「痛くない日はない。そこでどれだけ稽古を積めるか。痛くなくなるとは考えていない」

絶句、するよね。