11・18シュートボクシング「武志道其の伍」後楽園大会観戦記。

pon-taro2009-11-20

2009年のシュートボクシング「武志道-BUSHIDO-」シリーズも、いよいよ最終戦。この日のメインをつとめるのは、SBファンが待望してきた若き新エース候補の梅野だ。
1年間を締めくくる最終後楽園ホール興行のメインに抜擢された怪物・梅野は、シーザー会長とSBファンの期待に応えることができるのか?!

なお、試合結果と画像については、例によってスポナビさんから無断うにゃうにゃ。いつもありがとうございます(卑)。

オープニングファイト1
スターティングクラスルール
2分3R(延長1R)

○ 川地 正倫(シーザー力道場)
延長R判定2−1(10-9、9-10、10-9)
● 坂本 優起(シーザージム

オープニングファイト2
スターティングクラスルール
2分3R(延長1R)

○ 杉山 健作(シーザー力道場)
3R判定2−0(30-29、30-29、29-29)
● 松花 征也 (グラップリングシュートボクサーズ)

オープニングファイト3
スターティングクラスルール
2分3R(延長1R)

○ 菅原 悠次(シーザー力道場)
3R判定3−0(30-28、30-28、30-28)
● 西村 昌平 (立志会館)

前座ながら、熱戦の末の延長あり、シュートポイントあり、見応えのある試合が続いた。SBの若手は、みんながみんな、極端に前に出る試合をする。だから、オープニングファイトでも面白いんですよね。

第1試合
エキスパートクラス特別ルール
3分3R(無制限延長)

○ 高嶋 龍弘(シーザー力道場)
3R判定3−0(30-29、30-29、30-29)
● 元 貴(立志会館)

SBによくある、「二人ともよく前に出てるんだけど、差っちゅう差がつかない」って感じの試合。
しかし3Rに入ってさすがに元のほうは疲れがでたか、3‐0と大差になってしまった。
でも、たぶん、ジャッジ全員が30‐29.5ってつけたかったんだろうなー。

第2試合
エキスパートクラス特別ルール
3分3R(無制限延長)

○ 伏見 和之(シーザー力道場/SB日本スーパーバンタム級5位)
2R 2分37秒TKO
● 村田 大輔(ストライキングジムAres)

第二試合は、あっという間の流血TKO。3R+延長までたっぷり、という雰囲気だったんだが。
いかんなぁ、最近キック観てないから、カットを巡る攻防に不感症になってるよ。

第3試合
エキスパートクラス特別ルール
3分3R(無制限延長)

○ アレックス・ロバーツ(空柔拳会館/SB日本ヘビー級2位)
3R判定3−0(30-25、30-25、30-25)
● 岩下 雅大(龍生塾/SB日本ヘビー級4位)

ロバーツ、顔面に一発もらうと棒立ちになる姿も見せたが、1Rにバックドロップによる2P、2Rにスタンド肩固めによる1Pを獲得。さらに強烈な首相撲からの膝を間断なく繰り出し、終始圧倒的なペースで判定3‐0。
大怪獣ロバーツに対し、岩下もよく立ち向かっていったね。ヘビー級の醍醐味みたいな試合だったなー。

第4試合
レディースクラスルール
57キロ契約 2分3R(延長1R)

○ 高橋 藍(シーザージム
2R 2分51秒TKO
● HARUMI(BLUE DOG GYM)

第四試合から、3試合は女子。
…なのだが、ちょっと実力差がありすぎたな。高橋が、身長差(と若さ)を活かして、エゲツないヒザ蹴りを連発、TKOを奪った。

第5試合
レディースクラスルール
51キロ契約 2分3R(延長1R)

○ V一(MAX柔術アカデミー&ヨガスタジオ)
延長R判定3−0(10-9、10-9、10-9)
● 悦センチャイ(センチャイムエタイジム)

名前が難解な対決、V一(ヴィーはじめ)vs悦(えっちゃん)。Vが積極的に投げにいくが、意外に腰の強い悦。組み合いで決定的な差がつかないところに、Vの打撃がやや好印象だったか?本戦判定V1‐0悦から延長1‐0でV。

第6試合
レディースクラスルール
52キロ契約 2分3R(延長1R)

○ RENA(及川道場/Girls S−cup2009王者)
2R終了時TKO
● 藤野 恵実(和術慧舟會GODS)

さあ!僕のアイドルRENAちゃんの試合ですよ!RENAだけ見てればいいんだよ!ガッチャメラ、オラエー!


取り乱してませんよ?


いかにもコワモテなスタイルとビジュアル(と、ついでに経歴も)を持ち、ボクシング経験があるという藤野は、女子離れしたパンチで攻める。ハンドスピードと手数は、本来は総合の選手だとは信じられないくらいだ。対するRENAは、その藤野の打撃をかいくぐりつつやはりパンチで応戦していく。
初回が終了し場内は終盤の激戦への期待感に満ちていたが、2R開始早々、RENAのパンチが顔面にヒットすると、藤野が鼻から大量出血。2R終了後のインターバルにはドクターが青コーナーに駆けつけ、長いチェック…の結果、「鼻骨骨折により続行不可能」とのことでTKO!
RENAもすごいが、鼻折られてなおパフォーマンスが低下しない藤野の特攻精神もお見事だった。
リベンジマッチがあったら、ぜひ観たい試合ですよ。


にしても、RENAちゃんは本当にかわいいなぁ。某氏は「女子の選手にあんな若い子はいないからな」と失礼なことを言っていたが(笑)、それだけじゃないでしょー。大げさなことを言えば、生身の人間とは思えないような天真爛漫さがあるように感じたのだ。
ジョシカクはもちろん、女子プロレスでも、あんな底意のない笑顔は見たことがない。「中西百重に近いけど、でも『壮絶さ』を感じない点が違う」と主張したら、高倉仮面師に「脇澤美穂がいたじゃん」と言われ、そのときはああなるほど、と思ったけど、脇澤にも豊田との絡みでものすごい生々しさを見せた部分もあったしなぁ、と、後で思い出した。
ああ、渡辺久恵だ!そうだ。彼女みたいなスター性を感じたんですよ。しかも、久恵以上の「伸びしろ」もありそうで、単純に格闘選手としても期待大、です。はい。

休憩・シーザータイム

例によってSB興行の実質メイン。
んが…せっかくの今年のテーマだった対修斗路線についても、いつになく弱気な総括だったシーザー会長…。
会長に元気がないと、シュートボクシングは面白くないですよ。元気を出してください!
今日の後楽園、緒形も宍戸も出ないのに、満員じゃないですか!

第7試合
エキスパートクラス特別ルール
60キロ契約 3分3R(無制限延長R)

● 石川 剛司(シーザージム
3R判定0−2(30-30、29-30、28-30)
○ パジョンスック・ポー.プラムック(タイ/ルンピニースタジアム認定バンタム級3位)

試合前の煽り映像で、自身の反則ファイト(とられないけど)について
「ダーティーで来るならこっちもダーティーテクニックを出しますよ」
と。「俺をキレさせた相手が悪い」ってこと?ていうかそもそも、崩れた相手を蹴り上げたり、後ろから延髄にヒジを叩き込むなんて行為を「テクニック」などと称する感性が、そもそも問題なんだってば。
まるで「石川が反則をしたらそれはパジョンスックのせいですよ」と言わんばかりの映像は、ただ不快だったな。


試合のほうは、ラウンドが進むにつれてパジョンスックのパフォーマンスがみるみる上昇していく、という対ムエタイによくある内容。
しかし、本戦判定2‐0に場内には不満の声も。確かに30‐28はちょっと厳しいかな、とも思うが、むしろ三者30‐29で判定3‐0が妥当なとこでしょ。
それ以前に、延長やってこれ以上に差がはっきりする前に止めてもらって、ラッキーだったんじゃないかね?ま、「ダーティーテクニック」より先に、磨かなきゃならないテクニックは色々あるんじゃないの。


パジョンスックは、普通にいい選手でした。強敵を相手にしても、たぶんこのスタイルのまま勝てちゃうんだろうなぁ。それこそ、石川直生やW山本とかとの試合が観てみたい!

第8試合
エキスパートクラス特別ルール
70キロ契約 3分3R(無制限延長R)

○ 金井 健治(ライトニングジム)
延長R判定3−0(10-9、10-9、10-9)
● 堤 大輔(チームドラゴン/J−NETWORKウェルター級1位/全日本キックボクシング連盟ウェルター級2位)

観てない間にチャンピオンになって、観てない間に陥落してしまった金井選手。試合前映像を見る限り、梅野戦はすごい内容だったみたいだ…が。と、そんな金井の復帰戦。
SBを定期観戦してて、金井を応援しないファンはモグリだ。


ところが、相手の堤、これが巧い!鮮やかなフットワークからのジャブで、金井はあっという間に出足を止められてしまう。インローとミドルで何とか食い下がる金井だが、やっとの思いでパンチの距離に入っても、そこからの攻め手がどうしても出てこない。
が、3R後半から、金井はボディストレートとアッパーに活路を見出す。かわす堤、追う金井。そしてついに延長R、上下の撃ち分けで下がった堤のガードの隙をついて、値千金の右フック!
SB随一の苦労人が、粘りに粘ってギリギリの勝利をもぎ取った試合だった。

第9試合
エキスパートクラス特別ルール
70キロ契約 3分5R(無制限延長R)

○ 梅野 孝明(シーザージム/SB日本スーパーウェルター級王者)
3R 2分44秒KO
● チョークディ・ポー.プラムック(タイ/元ルンピニー・ウェルター級王者)

SBのエースとは何か?それは、勝つ者のことである。
どんな強敵だろうと、たとえ連戦だろうと、メインのリングに上がったら、勝ってファンに応える。それが、SBのエースであるための、たったひとつのシンプルな義務だ。
宍戸は、そして緒形は、気の遠くなるほどのあいだ、その義務を果たし続けてきた。
SBのエースというのは、勝ってみんなを幸せにする。それが、唯一にして絶対の資格なのだ。
今、SBは新たなエースを迎えようとしている。ファンが待って、待って、待ち望んだ、若き新エース。それが、梅野孝明だ。
元ヘビー級(85kg以下)という恵まれた身体能力と、誇張なしに一撃必倒の破壊力を持つ右ストレートで、この一年で瞬く間にこの地位まで昇りつめた男。
みんな、この梅野をエースとして期待している。これから、26歳の俊英には、その資質を問われ続ける過酷な道が待っている。
「SBの新エース」の門出の一戦。運命の戦いが始まる。


だが、1R序盤、梅野はさっそくチョークディのハイキックでバランスを崩したところにパンチを当てられてスリップ。これがダウンと判断されてしまう。
…が、そのビハインドをどう捉えているのか、梅野は、少なくとも表面上は泰然自若として揺るがない。
100戦以上のキャリアを誇るチョークディは、不気味な梅野のプレッシャーを下がりながらいなしていく。ロープやコーナーを背にはするが、すかさずジャブを突いて脱出。絶妙なヒザ蹴りを出すと、さすがの梅野も顔色が変わった。
そして、運命の第3ラウンド。ついに大砲が火を噴いた!ガードの上からにも関わらず、大きなダメージを負うチョークディ。必死で頭部をガードするが、梅野の剛腕が、ここを先途と降り注ぐ。チョークディはたまらずダウン!
なんとか立ち上がるチョークディだが、ダメージは明白。そこへ梅野の、ガードなどお構いなしの連打を叩きつけられては万事休す。あまりにも劇的なメインは、新エースが豪快な逆転KO勝利だ!


…うーん、水を差すようだけど、これって「SBの勝利」でも「梅野の勝利」でもなく、「梅野のパンチ力の勝利」なんだよなぁ(苦笑)。
同行者に
「仮に負けてもKOだろうから、これから梅野の試合は盛り上がるだろうね」
なんて話をされたけど、
「いや、負けるとしたらパンチが当たらなかったから、だから、どんな負けでもあり得るんですよ。それが怖い…」
と応じてしまいました。うん、それに尽きる。


だが!
しかし!
この一戦で、ついに梅野はエースの座についたと断言していいだろう。こうなったらこっちも腹をくくって、梅野の右拳に夢を託さなきゃな。
頼むぞ、梅野。そして、今日はありがとう!