? マッスルハウス2観戦記

○休憩中

いいようにマッスルにうちのめされた観客たちが、会場のそこかしこで興奮気味に今観たモノについて語り合う休憩時間。
あ、あっちではキャバ嬢風のねーちゃんたち(どんな会場に行ってもいるよね。しかも必ず2人連れ)が、フリ付きでさっきの「えーる、えるっ!ぴー、だぶりゅー!」やってる。インパクト強かったもんなぁ。
にしても大混雑だ。たぶん、いわゆる「トイレタイム」が本番中に存在しないから、っていうのもあるんだろうな。

ここで幸運にも、ネットとかでお世話になっている諸先輩方に遭遇。やはり前半について語り合う中で、
「マッスルっていうのは、『プロレスから落ちこぼれた奴らのプロレス』なんだよ」(大意です)
という言葉をいただく。なるほど…とその時は単純にそう思っただけだっただが、後半戦、ボクはますますその点について考えさせられるようになったのだ。


アントーニオ本多の挑戦〜あしたのための、そのプロレス〜

休憩明け、ビジョンに控え室の映像が映される。そこには、
「いや〜、血のりが多すぎたなぁ」
と言いながらダブダブの腹を拭く亜門の姿が?!生きてた!っていうかこれが(これも?)ドッキリかよ!!

そこへ次に試合を控える本多が登場すると、亜門は自信満々に
「バカウケ間違いなしの脚本だよ!この通りやれば大丈夫!!」
とカンペを渡す。
渡された本多は読みながらしきりと首をひねる…と、イタリアン・トリコロールのリストバンドをした手がそのカンペをひったくり、破り捨ててしまう。本多がその男に目をやると…
ディック東郷の遠い親戚、フランチェスコトーゴーだ!!


葉巻をくわえ、四方を圧しながら入場してくるトーゴーはめちゃめちゃカッコいい!その「男の魅力」にボクがメロメロになっていると、鳴り響くのは「イノキ・ボンバイエ」!アントーニオ本多の入場曲ってコレなのか(笑

試合は、休憩前のどうにもゆるみきったそれに比べると、世界が違うかのように力強く、そしてシンプル。序盤はハンマーロックの応酬をじっくりと見せつけてから、手四つの力比べへ。それにしても、本多の「アントンっぷり」はすげぇなぁ!ペラペラのシャツ着てたさっきまでとは、顔まで変わって見えるよ。
これといった大技は出ずとも、両者は気迫と熱を持った攻防を繰り広げる。最初こそ「いつものマッスルの試合」を予想かつ期待していたせいであっけにとられていた観客席からも、次第に「本多!」「アントン!」「アントン!!」と、熱い声援があがるようになっていった。

どこまでもコッテリとした「いわゆるプロレス」な展開が続く。ハンマーロックにアームブリーカー、グラウンドでの腕へのニースタンプなど、トーゴーは本多の左腕に集中攻撃し、とどめのスリーパーで締めあげる。グッタリする本多の腕を持ち上げながらレフリーがダウンカウントを取るが…カウントアウト寸前、本多の拳が力強く突き上げられる!
ここから本多は一気呵成。フライング・ボディシザース・ドロップ、ナックルパートから延髄斬りで攻め込むが、トーゴーはラリアートで流れを断ち切ると、お返しとばかりにエグいパンチを叩き込む!本多、フラフラになりながらナックルを振り回すが、もはや足下すらおぼつかず、トーゴーに寄りかかるようにダウン。その本多のアゴを強烈にスマッシュしたトーゴーが、この試合の勝者となった…


敗れた本多は、マイクと手紙を取り出し、リング中央で正座しながら読み上げる(以下は大意です)。

「ここにいるのはフランチェスコトーゴーさんですが、遠い親戚のディック東郷さんにはひとかたならぬお世話になっています。
 マッスル4をたまたま見ていた東郷さんにDDTに誘っていただいて、インチキ臭いレスラーだった僕の生活が変わりました。
 僕のおかしなプロレスを『それがアントンの味だ』と言ってくれた東郷さんの懐の深さに、僕はドキドキしてしまいます。
 僕やドン・マエストロが悩んでいると、東郷さんは食事をごちそうしてくれ、そのあとはいつものようにパチスロ屋に消えていきましたね。
 僕の感情や出来事を持ち出してしまって申し訳ありません。けど、こういう出来事を東郷さんと共有できていることは、僕の人生にとってかけがえのないものです」

緊張と興奮でガチガチになりながらつっかえまくる本多。その肩を読み終えるまで励まし続けたトーゴーが本多の手を挙げさせると、会場は感動の歓声と拍手に包まれた…


(マッスルハウス2後半その2:http://d.hatena.ne.jp/pon-taro/20060509へ続く)