? マッスルハウス2観戦記・最終回

マッスル坂井の大決意〜ドーンとやってみよう!!〜

アントーニオ本多とフランチェスコトーゴー(と遠い親戚のディック東郷)との暖かい交流秘話に胸を打たれる観客の前に、顔をくしゃくしゃにして巨体を震わせたマッスル坂井が、藤岡メガネと趙雲子龍を引き連れて現れる。

「本多君をマッスルに誘って、本当によかったと思います!」観客大拍手。
「なんかもう、何て言っていいか…」
万感胸に迫り、あの饒舌な坂井がまるで言葉を失うという衝撃的なシーン。
「もういいですよね。…今の、よかったですもんね!俺、この後の段取り忘れちゃったよ」
万感胸に迫り、あの坂井が進行を放り出すという、さらに衝撃の発言。
…。本当に台本が「抜けた」のか、何度も演出家・鶴見亜門を振り返る坂井。
「お前さ、今の熱い試合を見て、何かを感じたんじゃないのか?その思いを、今ここでみなさんの前で発表するんだろ?」
と、困り顔の亜門がフォローする。が…
「そうですけど、何かもうそういうのって…」
坂井はどこまでも煮えきらない。
「だからさ、お前はある重大な決意をするんだろ?」
ヤバいと感じたか、先ほどより強い口調で坂井を促す亜門。すると…

「そうだよ!このマッスルが、さっきの試合みたいに、プロレスやりたい奴の入り口になればいいって、俺は……だいたいお前らなんなんだ!!」
突然キれだした坂井が指さしたのは、趙雲子龍(チビ)と藤岡メガネ(ガリ)。
「偽物じゃないか!!」
場内爆笑。
「みなさん、俺、がんばります!プロレス真面目にやります!亜門さん、俺をメキシコに行かせてください!」
吹っ切れたように熱い思いを口にした坂井に、亜門は一言、
「あれ(『スモー・リブレ』の旗揚げ)はドッキリのネタだから無理だって」
ひでぇ。
「でも、大鷲さんに声かけてるって…」
「嘘に決まってんだろ!だいたい大鷲さんがマッスルなんかに出るわけないだろ!」
「そんなぁ〜〜〜っ…」
がっかりする坂井。しかし、その時花道から誰かが現れる!

「坂井!お前、今何て言った?メキシコだと?俺と決着つけるのが先じゃねぇのかっ?!」
現れたのは、K-DOJOのDJ-ニラ!
「まぁ仕方ねぇ。行けよ、メキシコ。だがその前に、お前に見せるものがある!おいっ!」
なぜか、ニラにアゴで使われる趙雲と藤岡。二人がリング下から取り出したのは…
坂「これ、レスラーが移動の時に使うトランクじゃないですか!」
ニ「そうだ。開けてみろ」
お〜、坂井の旅支度かなんかかな?スモーリブレ用の恥ずかしい衣装が入ってるとか…なんて思ってたんです。ボクは。
坂「これは…大鷲透Tシャツ!」
あっけに取られる場内。そしてボク。
坂「大鷲透タオル!」
言うなり、なぜかラッピングされて入っていたタオルを客席に投げ込む坂井。
坂「大鷲透使用済みパンツ!何故こんなものがここに…?」
さすがにパンツは投げないね。
ニ「そう、それは大鷲選手の私物。大鷲選手が昼のDDTのメインでミラノと戦っている間に、俺がこいつら(趙雲&藤岡)に盗ませておいたのだ!」
なにーっ!
大鷲vsミラノだって?!それは観たかったぞぉぉぉ!!(調べてない自分が悪い。というか、夜勤明けの2時間睡眠でこの興行に駆けつけてるくらいだから、事実上昼のDDTを観る時間はなかったわけだが)
坂「と、言うことは…」
ニ「そう。つまり、大鷲選手は昼の試合が終わってから、まだこの後楽園を出ていない!そしてこの様子をモニターで確認して、今ここに、怒り狂って現れるのだ〜っ!!」
…あ、考えごとしてる間にスキットが進んでた。

坂「な、なんだって〜っ?」
ニラの恐るべき宣言の意味が場内に伝わりきるより早く、大音響の「SANDSTORM」が鳴り響く!ほんとに来たー!大鷲さんだーっ!
大鷲透…いや、大鷲トオルティーヤの登場に、客席からはヤンヤの大喝采。さらには、肉襦袢ナシでも力士より力士らしい大鷲トオルティーヤ・シート(三和太。俺と名前一緒だよ…だから太って名前は嫌いなんだぁ)も後に続き、エプロンに並んで観客を一睨みしてからリングイン
大鷲が姿を現すと、ニラ&趙雲&藤岡のコソドロ3人はもちろん、坂井も一斉に直立不動。大鷲はこの面子を睨みつけ…
「オゥお前ら!何してくれとんじゃあ!!」
びびりまくる一同。観客はもちろん爆笑。
「誰がやった?」
みんな、いっせいにニラを指す。
「し、指示はしましたけど、実際にやったのはこいつらです!」
ニラは趙雲&藤岡に責任をなすりつけようとするが、それはすなわち「主犯宣言」だろ(笑
大鷲は荷物からタオルがなくなっていることに気づくと、
「タオル拾った奴!金払うか返すかどっちかにしろ!」
ちなみに大鷲さんは、昼のDDTで「今日はグッズを売りに来た」みたいなこと言ってたみたいです。
「で、お前は何なんだ?」と、大鷲は自分の背後にいた異様な人物(シート)にも今さら気づく。いやぁ、前半の凝りまくったドッキリに比べて、わかりやすいこと(笑)。結局…
「お前ら全員、ぶっ潰してやるー!!」
と、大鷲&三和&坂井組vsニラ&趙雲&藤岡組の6人タッグマッチが始まるのでありました。が…


ガリガリの痩身にだぶだぶの黄色い馳タイツを着けた藤岡が、何故か自信満々で先発を買って出たところ…
「盛り上がってるとこ、ごめんねー」
と、亜門が水を差す。不審げな一同に、
「明日、ここで『仮装大賞』の収録があるんだけどさぁ(これはなんと事実)、時間の関係で、セットの一部を搬入したいんだってさ」
唖然としたり動揺したりの観客席とリング上。
「隅っこなんで試合の邪魔にはならないからって。ね?大鷲さんも、『仮装大賞』好きでしょ?」
これに大鷲が
「まぁ、嫌いではないな」
と、まんざらでもない表情で応じたことで搬入にGOサイン。改めてリングで試合が開始されるとともに、セットの設営が会場隅で進められることになった。


コソドロチームの藤岡が果敢にも大鷲にローキックで当たっていくが、張り手一発で吹っ飛ばされる。さらには逆水平からカバーされいきなり万事休すかと思われたが、藤岡はこれをカウント2で返す!
…が、大鷲に代わったシートの電車道、さらには坂井のリフトアップスラム、シートの串刺し攻撃を次々に食らい、大鷲に踏みつけ式カバーされるとピクりとも動かずに3カウントを奪われた。


…が。


ピ、ピ、ピ、ピ、ピ…カ〜ン……
と、聞き慣れたSEがホールに響く。試合中に設置された『仮装大賞』の得点表示機が、今の試合に「5点」をつけたのだ。もちろん、20点満点中15点が合格ラインという裁定からすると「不合格」。
大鷲はたまらず「なんじゃ、こりゃー!」
亜門の
「この機械も30年『仮装大賞』を見ながら採点し続けてきたせいで、何を見ても採点せずにはいられなくなっちゃったみたいだね」
という分析にも

「ファンタジーにもほどがある!!」

と激怒する。しかし亜門も
「いや、素人目にも今の試合はひどいよ。藤岡がやられただけじゃん」
とダメだし。
「俺もう12時間近く後楽園にいるんだよ。そんなシステムも、よくわかんねぇし…お前、試しに何かやってみろ」
と弱りきった大鷲がニラに指示すると、ニラはDJタイムを披露。すると得点表示機は1点加算。これを見た大鷲は、何かが吹っ切れたかのように
「よォォーし!わかったっっ!!」
と大納得。かくして、マッスルハウス2のメインのリング上は、満点を目指して一致団結をみたのである。
が、大鷲はさらに
「(『ゼニ』のサインをつくって)コレも頼むぞ」
受けた亜門は
「わかってますって」


リング上、最初の挑戦者はシート。仰向けになった趙雲の上を巨体で転がる「ぶーちゃんローラー(逆回転の『リバース』つき)」で挑むが得点変わらず。もはや元・悪冠一色の面影など微塵も見受けられない大鷲が「透ちゃんローラー(リバースもコールつき)」にトライすると、4点加算で9点に!

続いては坂井。フルネルソンからかけ声と共に締めあげるマッスルロックでチャレンジするが…
「マッスル!」1点減点。
「マッスル!」1点減点。
「マッスル!」1点減点…結局、得点は4点まで下がってしまう。
となれば我らが大鷲トオルティーヤの出番。代わってマッスルロックにいくと、得点が加算されていく!高速マッスルロックの結果、12点をマーク。あと3点!

トオルティーヤはチョークスラムを狙うが、趙雲はこれをウラカンで切り返して(これはこれで得点になってもよさそうだったが)ニラとスイッチ。
再びDJタイム(串刺し背面プレス)を見せるが得点にはならず、ならばとトオルティーヤにお願いしてロープにもたれてもらい、619式くしゃみを浴びせるが逆に1点減点されてしまう(これはロープ間で旋回する619から、蹴らずにエプロンに着地して顔面にくしゃみする技。ある意味619より難しいような気はするんだが・笑)。

ここで、無謀にも藤岡メガネがリングイン
トオルティーヤは難なくビッグブーツで蹴散らしてボディプレスをお見舞いし、パワーボムの体勢に入るが…

「くせーっ!こいつくせーぞ!!」

と叫ぶ!よってたかって藤岡の馳タイツを脱がすと…その下には…○色に染まったブリーフが!(万が一にもお食事中の方がいましたらまことに申し訳ない)

会場に激震が走るとともに、マッスル名物スローモーションに突入…

泣き叫びながらリングを駆け去る藤岡…

あまりの事態に呆然と立ちすくむトオルティーヤにチョップを浴びせるDJニラ…

と、この演出を全く理解していないトオルティーヤはニラに対して通常の速度で逆水平!

全員が(スローで)あわてて『バッテンポーズ』でトオルティーヤに『ゆっくり!ゆっくり!』とアピール…

しかしやはり把握していないトオルティーヤは、ニラのスローチョップにまたもや普通に逆水平!

全員(レフリー、亜門含む)で『ゆっくり!』アピール…

やっと事情を飲み込んだトオルティーヤ、ついにスロー逆水平を繰り出す…

全員(一部観客含む)で両手でまるを作り『オッケーサイン』…

悶絶するニラを押さえつけてパワーボムの体勢に入るトオルティーヤ…

その背後から、趙雲が愛刀(普通に刀)で斬りつけるっ!…

さすがに「斬られ」までは付き合えないか、振り向いてチョークスラムの体勢を見せるトオルティーヤ…

だが!次の瞬間、トオルティーヤは背中を押さえながら苦悶の表情で倒れ込む…
満場の観衆には、トオルティーヤの背中から吹き出す血しぶきが見えたはずだ…

シートが趙雲の刀を奪い、趙雲を斬りつけてからなぜか倒れたトオルティーヤにとどめ…

シートは返す刀で坂井、ニラをも斬殺…

坂井が西側客席最上段に運ばれて手当を受ける中、趙雲がまたもシートに斬られる…

血に狂ったシートが、トオルティーヤにダメ押しの一撃を加えるべく刀を振りかぶった、その時……!!

西側バルコニーにピンスポ…!

ブリーフ丸出しの藤岡メガネがバルコニーからのダイブを敢行…!真下には坂井が……!!

(スローにするためワイヤーハーネスで吊されながら)旋回式フロッグスプラッシュ式バルコニーダイブが成功し、藤岡が坂井から3カウントを奪う……!!


ピピピピピ、ピピ…ジャカジャーンッ!20点だ!満点だぁっ!!


斬られていたはずの一同が起き上がり、『仮装大賞』の満点獲得チームさながらに、迷惑そうな大鷲を中心に大喜びする!
「いやー、よかったねぇ〜。どこから来たの?」
と、欽ちゃん口調で大鷲に聞く亜門。大鷲は答えて
「長野県。」


念願の満点を獲得し、憑き物が去ったかのように晴れ晴れとした表情の坂井がマイクをとる。
坂「みなさんのおかげで、満点を取ることができました!ありがとうございます!(場内拍手)
 今日は大鷲祭りでしたよ!来年からも、大鷲祭り2007、2008…僕らみたいな人間の力でよかったら、いくらでもお貸ししますよ!(場内大歓声)」
大「どうでもいいけどよ、もう後楽園に入って12時間25分だよ。一つだけ頼む。もう帰してくれ!(場内爆笑)」
坂「みんな、大鷲さんのこと大好きなんです!今日のお客さんも、大鷲さんがこんなことやったなんてインターネットとか書かないし、サムライの二アライブでも大鷲さんの出てるとこには全部モザイクいれますから!」

その言葉を背に、トランクを携えて退場する大鷲。本っ当にお疲れさまでした。ありがとうございました!

坂「これからもがんばって、トーゴーさんや大鷲さんが、マッスルに参加したことを胸を張って言えるような、そういうリングにしていきたいと思います!今日は95点!これは自己満足だけど、自己満足じゃないんです」
支離滅裂な坂井に亜門が「どっちだよ!」とツッこむが、坂井は笑って
「今はポジティブに行きましょうよ!みなさんがいる限り、マッスルは永遠に不滅です!」
そして、最後は満員の観衆が総立ちで

「3、2、1、マッスル!マッスル!!」

大団円でした。

(感想はこちら:http://d.hatena.ne.jp/pon-taro/20060510