一週間経ってもまだマッスルハウス3の話。

pon-taro2007-01-11


色々考えたんだけど、やっぱり内容を踏まえつつ振り返ることにします。なので、すげー長くなります。
トータルの感想としては、厳しめになる予定。

OPスキットは、一般誌(マッスル坂井のインタビューが掲載された「SPA!」と今度マッスル特集を組むらしい「QUICK-JAPAN」)の編集者に、坂井こだわりの担々麺での接待シーンからスタート。そこへ鶴見亜門が登場し、「SPA!」の「エッジな人々」での坂井の発言をマスコミ批判として非難。心を入れ換えた坂井たちは、過剰な演出を排し試合で魅せるマッスルをつくることを宣言。

この「マスコミ批判」に対しては、2ちゃんねるとかで実際にあったらしい。マッスルスレの現スレでログが読めるので、興味のある人は各自調査。「週プロの鈴木健が謝罪を要求した」なんて噂もあるけど、当の鈴木健記者は当日サムライ実況席で解説としてストーリーにも絡んでいた(後述)し、このへんは推して知るべし、というところかと。
というか、「SPA!」誌上での発言→(既存プロレス界からの反発→)謝罪と再出発という流れがとにかくすんなりと一繋がりになっている(さらにEDでの発言にもつながる・後述)ことからも、かなりの部分は計算ずくだったんだろうなぁ、とは思った。

試合前、同日昼間の全日後楽園〜翌日新日東京ドームに参戦する東京愚連隊(NOSAWA論外&MAZADA)に、控え室を占拠されていることが発覚。進行役の男色ディーノの発案により、「控え室争奪マッチ」を行うことに。
というわけで第一試合、NOSAWA論外&MAZADA‐マッスル坂井アントーニオ本多が開戦。マッスル坂井が「ついでに明日のドーム出場権も賭けろ」と言いかけるが、愚連隊は相手にせず奇襲。場外で坂井がNOSAWAに捕まる間、リング上では本多がMAZADAにやられまくる。本多の受けっぷりは、NOSAWAでさえ「ここはこういう(ちゃんとプロレスする)リングか?」と空気を心配するほど。
愚連隊得意の合体波状攻撃にさらされる本多のピンチに、ツルティモジム同窓の趙雲子龍、ペドロ高石が救援に駆け付けると、奮起した坂井がフォールアウェイスラムからバーディクト(余談だが、DDTの試合も含め坂井がこれを決めたのは初めて見た)!
しかし、MAZADAをカバーしてまさに3カウントが数えられようとしたそのとき、謎の乱入者が現れる。

最後の乱入はともかく、試合そのものはほぼ普通のプロレス。思えばこのへんから、自分の周囲に座っていたお客さん(南側スタンド上部)は、「あれー、普通の試合じゃん」と、拍子抜けしていた様子。そのぶん、乱入のときの反応はすごかったけど。

色紋付の羽織袴をまとったアフロの怪人は、手にしたハリセンで一同を乱打。誰もがマッスルの総合演出を担う鶴見亜門だと思ったが、本人はなんと「亜門のイトコで、ジャパンテレビの人気番組『頂点』のディレクター兼総合司会の三流亭鶴見」と名乗る。
一同は当然「プロレスやってんだから邪魔するな」と憤慨するが、三流亭は日本最大手テレビ局の威光をかさに
「正月からプロレスなんか見るバカがいるか!みんなお笑い番組見たいに決まってるだろ!」
と、「頂点」の新春特番収録準備を強引に進めていく(セット組み立ては写真参照)。
しかし、そこに毎回どんなシチュエーションでも鶴見の手足として使われる藤岡"メガネ"典一がリングサイドに登場し、「『頂点』メンバーが全員楽屋で息を引き取った」という驚愕のニュースを告げる。あまりの事態に混乱した三流亭は、あろうことかツルティモジムの面々に「頂点」出演を持ちかけてきた。「俺たち4流レスラーが大喜利なんて無理」「でも田舎の両親が喜ぶかも」
などとみんなで慌てる中、坂井が
「出されたお題に一瞬で答えを出す大喜利も、相手の攻撃を瞬間的に読みきって技を返すプロレスも同じ。どちらもお客さんの前での真剣勝負には変わりない!」
と熱く語るが、三流亭は
「いや、そんなに難しく考えなくても、ここに台本あるから」
とあっさりと暴露。
「『頂点』に台本が?!」と驚く一同だが、三流亭は「問題に回答、司会者のリアクションまで書いてある」と淡々と述べ、
「政治諷刺ネタとか、いきなり言われても俺、わかんないから。ぶっちゃけ、下ネタが一番面白いと思うし」とまで。
その後スタンド席のお客さんをわざわざどかし、三流亭の観客席からのオープニング収録から「頂点」がスタートした。

ご覧のとおり、いよいよいつもの「マッスル」になってきた感じ。このあと鼻唄アカペラの「頂点」テーマとともにOP映像が流れるが、イラストのテイストなどかなりハイレベル。

オープニングに続いては演芸コーナー。登場したのは全日本プロレスを始め各団体で「お笑い担当」を勤める菊タロー…と、なんと先ほどの東京愚連隊が。
ネタは、忙しい年末年始が終わったらゆっくり温泉にでもいきたいNOSAWAが、入れ墨のせいで行けないという悩みを菊タローに相談し、菊がそれに答えるかたちでショートコントに繋ぐというオーソドックスなコント漫才

マイク慣れした菊とNOSAWAの二人でネタを回し、しゃべらないMAZADAでにオチをつけるネタ構成は見事。しゃべりは二人のうちほとんど菊タローだったが、後で聞いたところによると2003年にM‐1にも出場していたとのこと。どおりで巧いわけだ。

続いてはお待ちかね、大喜利のコーナー。第一問は「初夢一問一答」。
「背中がツる夢を見ました」「どなたですか?」「荒川静香です」
「叩いたら叩かれる夢を見ました」「あなたは誰?」「亀田親子です」
と、なんとも本家のツボを押さえたやりとりは秀逸。坂井が
「武道館のリングに立つ夢を見ました」「誰の夢ですか?」「僕たち全員の夢です!」
ときれいにまとめたところで二問めへ。

二問めは「悪役が一言」。目の前のリングで行われる試合に解答者は悪役レスラーとして乱入し、マイクをとって一言なにか面白いことを。試合はツルティモジム最強レスラーであるゴージャス松野に、若手の飯伏幸太が挑むチャレンジマッチ。なお、実況は村田アナ、解説週刊プロレス鈴木健記者。例題として藤岡メガネが乱入することになって試合開始。

飯伏はいきなりドロップキックからムーンサルト。カバーに入ったところで
アナ「ここで全日本中学プロレス王者の藤岡が乱入!マイクをとった!」
藤岡「(チケットを出しながら)あの、立ち見ってここで観てもいいですか?」ゴングが乱打される。

試合再開。
飯伏は倒れたままの松野さんにその場飛びのシューティングスタープレス。
アントーニオ本多が乱入→「ミズシマ!一緒に日本へ帰ろう!」ゴング乱打。

試合再開。
飯伏はストンピングから松野さんをコーナーに振るとサマーソルトキック、さらにノーザンライトスープレックスホールド。
趙雲が乱入→「○★△%〒◆△@♀!(中国語のような。)」ゴング乱打。

飯伏の攻めが続く。松野さんはジックリ若手の攻撃を見定める構えか(実際はすでに息たえだえ)。飯伏ローキックからアンクルホールドに。
酒井HG乱入→「松野さん、マイミク申請ありがとうございます」ゴング乱打。

飯伏がヒザ蹴りからサッカーボールキック。松野さんようやくエルボーを見せるが、飯伏に返り討ちにされる。
「サムライTV」のロゴを手にした坂井が乱入してカメラの前に→村田アナ「次週、マッスル坂井が衝撃の告白!皆さんご機嫌よう、さようなら」ゴング乱打。

再開後、飯伏の強烈なハイキックが決まる。
本多無言で乱入→アナ「握りこぶしから血が!」解説「本多選手も必死に耐えてるんです!」三流亭「男塾かよ!」このネタはわかんなかった…

飯伏ローキック〜エルボー〜サッカーボールキック
ペドロも無言で乱入→アナ「生命保険の契約書と…あれは松野さんの実印ですね!」ペドロは保険会社のサラリーマンとのこと(ネタか実話かはわかんないが、たぶん実話だと思う)。

ここで、三流亭が
「お前ら村田アナたちに頼りすぎだろ!」確かに。「もういい俺がやる!」と言い出すが、肝心のネタは松野さんを踏みつけながら
「おいこら松田!あ、間違えた。松野だった!」
「おいこら松野!お前、平田だろ!」(これにはプ界で有名な元ネタがあるが割愛)
と、これを狙ってたんだとすればあまりにも素晴らしい滑りっぷり。怒った坂井が
「あんた!このリング上の松野さんを見て何とも思わないのか?!」
と三流亭に詰め寄る。
「え?だってプロレスでしょ?全部わかっててやってるだけじゃないの?」
「ちげーよ!あんたはプロレスのこと詳しくないから人間関係とかわかんないだろうけど、松野さんや飯伏はそういう細かいことわかんないんだよ!松野さん、飯伏は、『頂点』とか関係なしに、ただ『今日はなんだか乱入が多いなぁ』とか思いながら、普段どおりの試合をやってるだけなんだよ!」
と、マッスル坂井が衝撃のアピール。なんぼなんでも、そこまでアホ扱いするのはどうか(苦笑)。
ここに本多が割り込み
「プロレスとかけて大喜利と解く!そのココロは、どちらも熱い真剣勝負です!」
ペドロも続いて
「プロレスとかけまして、生命保険と解きます!そのココロは、どちらも命を懸けてます!!」
二人の「プロレス謎かけ」に、会場も「松野」コールで応える。
本多「試合を続けさせてやってくれ!二人の熱い勝負を邪魔することはできない!」
三流亭「かってにしろ!試合再開!!」

松野さんと飯伏のエルボー合戦で再開。ここから飯伏が怒濤の攻め。
カウンターのドロップキック→カウント2
その場飛びシューティングスタープレス→カウント2
コーナーからのムーンサルトプレス→カウント2
ノーザンライトスープレックスホールド→カウント2
串刺しエルボー→カウント2
ハイキック〜ソバット〜アンクルホールド。
ことごとく返す松野さん。このアンクルを切り返して連続して首固めにいくが飯伏もクリア。
飯伏は上段後ろ回し蹴りからのカバーを返されると、リング内を走ってトップロープに飛び乗り、ゴールデンスタースプラッシュ!!派手さに圧倒されたプロレスを知らないお客さんのみならず、飯伏の神業にマニア層も納得の一撃で、とうとう松野さんも力尽きる。

ついに3カウントを許した松野さんに、ツルティモジムの面々が駆け寄る。松野さんは横たわったまま、
「プロレスとかけて…
 お笑いと、解く…
 そのココロは、どちらも、
 『受ける』ことが、すべてです…」
名言を残した松野さんが救急車で搬送されるため、興行もここでいったん休憩に。

なんつーか、自分の周りでは、「松野さん=沢田亜矢子の元ダンナで整形とかホストとか、プロレスもかじってたって聞いたことある芸能人」だった。「マッスル」での松野さんはツルティモ・ドラゴン・ジムのエースという位置付けだからこそ、飯伏との試合中の実況も(実態には合わないが)松野さん寄りだったわけで、そこが伝わってなかったのがなんとも歯がゆかった。
というか、ただそれが伝わってなかったというだけではなく、この場面そのものが「プロレスラーキャラの芸能人が強いという設定の試合」というプロレスのパロディ、と受け止められているように感じたのだ。これは厳しいと思う。つまり、
「『マッスル』の観客は、もう『プロレス』を求めていない」
のではないか?と、強く感じた次第。
このへんは、後半も書いた上で最後にまた改めて。