全日本キック@新宿FACE。

休憩明けの4試合は、どれも見応えあるいい試合だったなー。

問答無用の破壊力…というか、一発のチャンスを逃さず畳みかける決定力を見せつけた、第6試合の板倉直人選手。

ベテランでありながら気合い十分ド迫力のファイトで、一方的に勝ちに迫ったかと思われた第7試合の藤牧孝仁選手と、その猛攻の一瞬のスキを逃さず、「これがキックだ!」と言わんばかりの鋭いヒジで額を切り裂き、大逆転を果たした細野岳範選手。


セミは、成長著しい新空手組の出世頭、瀧谷渉太選手19歳と、WSRじこみのムエタイファイター一戸総太選手22歳の若手が堂々たるランキング戦を展開。

ランキング1位の瀧谷選手に対し、6位と下位のはずの一戸選手が、徹底的な首相撲からのヒザで終始試合をコントロール
延長1Rのサドンデスマッチながら本戦内で一戸選手が完封勝利をものにするか?と思われたが、3R終盤、耐えに耐え続けてきた瀧谷選手がパンチをヒットさせるとここから一気に盛り返してドローへ持ち込み、延長へ。
こうなると試合の流れは瀧谷選手へ。ついには、あれほど支配力の強かった一戸選手の首相撲もはね飛ばし、俊英・瀧谷選手が意地でバンタム級1位の座を守りぬいたのだった。


そして、クリストフ・プルボー選手とクンタップ・ウィラサクレック選手が激突する、マニア注目のメインイベント。

この二人が戦うってだけですごいのに、両者とも何故かありえないくらいに気合いが入りまくり(笑)。
一足先にワイクーを終えたクンタップが休む青コーナーに向けて、プルボーが定番の「矢を射るポーズ」を見せたのだが、その瞬間、クンタップはその「矢」を捕まえてへし折るパフォーマンス。するとプルボーもムキになったのか、続けざまに矢を放つ。また折るクンタップ(笑)。
お前ら気合い入りすぎ。そして息が合いすぎ(笑)。

試合でも、事あるごとにローキックの打ち合いや足払いのかけ合いなど、張り合いまくる両者。お前ら気合(ry

1R、2R、互いの出方を探る両者。プルボーの前蹴り、クンタップのミドルが時折閃くも、全体としては静かな攻防、と言うか。
2〜3Rあたりから、プルボーが前に出て組みつき、ヒザを立てていく展開が増える。かわすクンタップ、追うプルボーという場面が多い。これはプルボーのペース、なのか…?
と思いきや、やはり曲者クンタップ。要所要所でミドルキックを叩きこみ続け、じわりじわりと、気がつけばプルボーは前に出るものの、有効な攻撃を出せなくなってくる。さらに、クンタップは首相撲の距離になると鮮やかな投げも見せ、静かに試合の支配権を奪いつつあった。

そして迎えた最終5ラウンド。
ここで前に出なければジリ貧のプルボーが踏み込むと、クンタップはミドルで迎撃。クンタップの蹴りのスピードは落ちないが、プルボーの反応速度は目に見えて下がっている。
こうして思い返してみても、クンタップが何か特別に有効な攻撃や決定打を出したということはないはずなんだが、5R序盤までの間に、おそらくはミドルのタイミングと首相撲の際のきわどいプレッシャーで、いつの間にか完全なクンタップのペースに持ち込んでいた。むー、やっぱありゃ魔法か何かだよなぁ。

だがしかし!
5R中盤、プルボーのパンチがまとめてクンタップを捉える。わずかに嫌がったクンタップの気配を察したか、プルボーが一気に前に出る!クンタップも必死でミドルやヒザで迎え撃つが、プルボーも乾坤一擲の大攻勢だ!
ダウンを奪うほどまでにはやや足りなかったが、この終盤の攻勢は見事の一言。判定は3‐0のフルマーク(49‐48、50‐49、50‐49。個人的には、49‐48にするくらいなら49‐49のドローでよかったんではないかと思うが)で、プルボーの勝利!


全日本キックが誇る日本人スターズ(あらし、石川、山内、寺戸、前田、そしてもちろんW山本)が誰一人出場しないFACE大会だったけど、久々のキック観戦ということもあってか、すごく面白かった。
特に、セミ前の藤牧選手vs細野選手と、メインのプルボー選手vsクンタップ選手の2試合は、それぞれに素晴らしかった。

セミ前の、観客誰もが「だからキックは面白い!」と再確認したに違いない大逆転のヒジの斬れ味といい、メインの二人のガイジン選手らしからぬ意地の張り合いといい、カードの妙とはまた違う、ライブならではのキックの魅力を堪能させてもらいましたよ。


観戦後は西新宿のもうやんカレー。えびカレーおいしゅうございました。
話題のメインはプロレス話と「ああ播磨灘」。特に、播磨灘はもっと知られていいマンガだということを改めて実感。

久しぶりに、どっぷり格闘技に浸かった土曜日でした。
これで、ワープロがもうちょい面白かったら言うことなかったんだけどね(苦笑)。