9・20DDT銀座ベノア「GINZA NOW」観戦記・前編。

pon-taro2009-09-23

行ってきました花の銀座。通りすがりの奥様もビックリ(詳細は当日の日記参照)、DDTは銀座でプロレスやっちゃいました!


会場は、カラオケボックスパセラと同じビル内にあるダーツバー、ベノア。ちょっと調べてみたら、週末は毎週のように貸切パーティーが開かれる、イベントスペースなんですな。
新宿FACEと同じ、チケット代とは別に\500のドリンクチケットを購入するしくみ。まあ不評なのはわかるんだけど、このシステムがあるからこそ、こういう会場で興行が打てるんだろうから、自分は納得してます。あと、バーボンソーダがうまかったし(笑)。


整理券19番で入場すると、6mという吹き抜けからは大型スピーカーやミラーボールがぶら下がり、何と言うか「いかにもDDTがプロレスしそう」でたまらない空間でした(笑)。
イス席はリング東西に10×2くらい?つまり、ほぼオールスタンディングと言って差し支えないかと。入場者数は、週モバのリリースによると190人(超満員)。へー、120人くらいかと思ってたけど、意外と入ってたのね。北側とかまだまだ詰められそうだったから、無理したら300人は入っちゃうかな?
ただし、床には一切傾斜がないので、バーッと入っていって、前に身体のデカい人がいたらその時点でアウトになっちゃうのは痛いですね。3段くらいのひな段は作れないかなぁ…作れないよなぁ。うーん…。


で、特筆すべきは場内ビジョンの数。
北側に1枚の液晶(?)モニターがあり、東西にそれぞれプロジェクターが1面ずつ、さらに、南側スタンディングスペースの西面にもう1枚!これだけあったら、南側からの観戦にこだわらなくてもいいかもね。

  • 1、ヤングドラマ杯公式リーグ戦(15分1本勝負)

○伊橋剛太<2点>
(3分5秒、片エビ固め)
安部行洋●<2点>
※フライング・ソーセージ

充実しつつあるDDT若手戦線にさらなるテコ入れという、なかなか冒険的な企画であるヤングドラマ杯。第一試合は、いきなりの俺メイン!
伊橋の投げっぱなしジャーマンによる奇襲からバッチンバッチンの打撃戦が展開され、打点の高いドロップキックで安部が反撃するも、伊橋は再度のジャーマンでうずくまる安倍の背中〜腰へのダイビングボディーアタック(フライングソーセージ)で3カウント!

昨年のビアガーデンでのvs飯伏ボクシングマッチ以来の伊橋のシングル観戦だけど、やっぱりいいねー。理詰めのプロレスもいいけど、伊橋のプロレスからは、本能のままに動いてる匂いがする。
身体能力や運動神経も恐ろしくいいし、本気で伊橋は「見なきゃ損するプロレスラー」だと思うなぁ。ヤングドラマ杯が終わったら、マサ高梨との「数え唄」なんてどうでしょう?

  • 2、ヤングドラマ杯公式リーグ戦(15分1本勝負)

谷口智一<2点>
(6分39秒、逆エビ固め)
高尾蒼馬●<0点>

こちらは、うって変わってグラウンドでの攻防が中心。説得力あふれる体格の谷口に対し、身体の小さな高尾は、キビキビした動きで立ち回る。高尾ってすごくバランスがいい気がするんだよなー。ひとつひとつの動きや表情がバチッと絵になるというか。
だが、パワー勝負になるとやはり谷口に一日の長があったか、ブレーンバスターからの強烈な逆エビ固めでタップアウト。

「両国デビュー」という「愛された新人」高尾の修行は続く。でも、30代でデビューした谷口にだって意地があるんだ。もしかしたら、この試合を観られたのって、いずれ自慢になる…かな?かな?

  • 3、トリプルスレットマッチ(30分1本勝負)

○A・本多
(7分18秒、同時横入り式エビ固め)
中澤マイケル●/趙雲子龍

試合前、控え室であるパセラのルームで熱唱するマイケルのところに、趙雲がやってくる映像。

趙雲「矢郷さんはやっぱりマミーなんじゃないか」
マイケル「マミーのはずがない!矢郷さんは人間だ!」

そこへアントン乱入。

アントン「俺は、ついに矢郷さんの真実を掴んだ!矢郷さんはマミーでも人間でもない。実は俺のマミーだったのだ!」
マイケル「な、なんだってー!」
アントン「いや、それは嘘だ。しかし俺は本当の真実を知っている。それは、リング上で明らかになるだろう!」

それに対してマイケルが言い返すが、噛みまくるわ吹き出すわでどえらいグダグダ劇に。もしかして、マッスル坂井離脱の影響??

そして3選手がリングに登場。
アントンは「矢郷さんはM78星雲からやってきたウルトラセブン」とか言い出して会場は微妙な空気に。自分なんか思いっきり「はぁあ?」って言っちゃったしなぁ(苦笑)。その後、人間だと主張するマイケル、マミー疑惑を追及する趙雲、いきなりチョチョリーナ説を持ち出したアントンの口論から、

アントン「真実は何か。真実は、真実と言い切った者が決めるんだ。勝った者の言うことが真実だ!」

あー、はいはい(笑)。
というわけで、「矢郷さんの真実争奪戦」が開始。

映像からリング上のやりとりで静まり返った場内を無理やり鼓舞するべく、「人間!」「マミー!」「チョチョリーナ!」と声を張り上げながらチョップ合戦を繰り広げる3者。衝撃が端っこの人間にまで伝わる数珠つなぎハンマーロックから数珠つなぎヘッドロックの攻防を経て、アントンとマイケルは

「矢郷さんはチョチョリーナが好きだ!」
「人間のほうが好きなんだ!」

と打撃の撃ち合い。チョチョリーナは人間だろう。いや、そもそもそういう話ではないはずだ(笑)。

次第にアントンのテキサス式(?)ナックルが連続ヒットし始めるが、それを受けるマイケルは「人間!」「人間!」とニーパットをずり下げながら堪え、「これが人間の証明だー!」とアンダータイツ(Tバックマイクロビキニ)一丁に。えーと、人間のひとりとして、あの姿が人間の何かを証明しているとは思いたくありません(笑)。

銀座のど真ん中でほぼ全裸のマイケルがビッグブーツからのレッグドロップでアントンを攻め込むが、趙雲がカット。
趙雲vsアントンの局面は、中華式ミサイルキックに中華式ダブルチョップで趙雲有利。一気に中華式ゴリースペシャルを狙うがアントンはカット、フライングボディーシザースドロップからエルボードロップをお見舞いしカバー、これはマイケルがカットする。
マイケルvs趙雲、マイケルは再びビッグブーツ、趙雲を担いでアングルスラム風のバックフリップを決める。が、エプロンから機会をうかがっていたアントンが二人まとめて丸めこみ、勝利を奪っていった。

アントン「矢郷さんがM78星雲から来たウルトラセブンだというのは嘘だ。矢郷さんは富山から新幹線で来て、日帰りだ。チョチョリーナはポルノ女優出身でイタリアの国会議員になった。何が言いたいのか?それは俺にもよくわからない。こんな戦いは無意味だ。戦いに意味なんてない。だが、この無意味な戦いは続く。なぜなら、俺たちは、こんな無意味な戦いが大好きだからだー!」

んなこと言われても困る!(笑)でも、俺たちも好きなんだよね。こういう無意味な戦いが。

  • 4、ヤングドラマ杯公式リーグ戦(15分1本勝負)

○ササキ・アンド・ガッバーナ<4点>
(8分3秒、エビ固め)
石井慧介●<2点>
※イタリア式DDT

新人揃い(安部:07年8月、石井:08年7月、谷口:09年5月、伊橋:09年6月再デビュー、高尾:09年8月両国デビュー)のヤングドラマ杯の中にあって、スーパークルー出身で05年デビューという佐々木大輔によく似たササキ・アンド・ガッバーナ(以下ササガバ)は、やはり頭ひとつ抜けている感がある。この試合も、打撃、グラウンドの両局面で石井を圧倒。
石井もコーナー上へのニールキックやフィッシャーマンズ・スープレックスなど躍動的な技で打開をはかるが、ササガバ必殺のイタリア式DDT(カナディアンバックブリーカーで担ぎ上げ回転させながらDDTで落とす)で勝負を決めた。

いやー、ササガバ強いわー!まあ、わかっちゃいたけどね。
このリーグ戦は、全体としてはストップ・ザ・ササガバだし、ササガバとしては、新人枠からより高いステージへの飛躍のためにアピールをしていかなければなるまい。
フランチェスコ&PIZAだけでなく、アントン&ササガバでもタッグ王座を奪えるくらいになってほしいですね。


中編へ続く!

GINZA NOW。

pon-taro2009-09-20

連休中の行楽は品川水族館の予定が、急遽、DDTプロレス銀座ベノア興行「GINZA NOW」観戦となりました。

そうでござぁますの。宅ではお銀座でおプロレスでござぁますのよ。


というわけで、人生2回目くらいの銀座で下車。
まず、どっちへ向かっていいかわからず右往左往しました。

なんとか街路図を見つけて、同じビルのパセラを目印にようやく到着…行列は25〜30人くらいでしたな。
で、並んでたら、自転車を押した上品なご婦人から

「これは、何があるんですか?」

と訊ねられたので、胸を張って

「今日は、これからここでプロレスをやるんです!」

とお答えしたところ、

「ええ?!まあ!あらそうなの?!ここで!」

と、たいへんに驚かれました。
銀座大会の成功を確信しました(笑)。


今日の俺メインは、ヤングドラマ杯の安部vs伊橋。伊橋のシングルは、去年のビアガーデンでのvs飯伏ボクシングマッチ以来なので、否が応でも期待しちゃいますね。
頑張れ☆伊橋!

DDT両国国技館大会を見てきました。

ゲイキャラ貫き通して両国までたどりついた男色ディーノの入場シーンと、ポイズン澤田JULIEの全身全霊をこめた呪文に、本気で涙がこぼれそうになりました。
他の感想は後日。


ここで緊急のお知らせです。


2010年7月25日、DDTプロレス、第2回両国国技館大会の開催を決定!!


明日また生きるぞ!

開幕前夜のつぶやき。

pon-taro2009-08-23

今夏最大の祭り、最大のイベント、最大の悪ふざけの時がやってきた!
結局、生活苦はまるで解消の見通しがたってないけど、今日だけは(ほんのちょっと)忘れるぜ!


発表当時は「あと8ヶ月先か…」なんて思ってたけど、何のことはない。
日々は過ぎるんだ。昨日の続きの今日が終われば、明日は勝手にやって来る。
明日がどんな日になるかっていうのは、昨日まで何をしてきたかで決まるんだ。
そういうことを、今日になるまで気がつかないんだよな、俺って。


でもね。昨日まで何もしてこなくても、今日から何かを始めれば、明日からはまた変わっていくんだよ、きっと。
今日は昨日の結果だけど、明日のための準備でもある。


8月23日、16時30分ダークマッチ開始予定、両国国技館、DDTプロレス「両国ピーターパン」。
今日、自分は、DDTの昨日と明日に勇気をもらいに行きます。

高尾山襲撃。

pon-taro2009-08-20

「紀行」カテゴリを作ったほうがいいのかなぁ。ま、いいか(苦笑)。
というわけで、mixiに書いたものを転載します。

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まったくの不意に、マイミク某氏と高尾山を襲撃してまいりました。


京王線高尾山口駅前からリフトorケーブルカーで中腹まで登ると、もう絶景!(写真1)
…リフトはお勧めしません。激怖ぇ。怖かったんだよぉ!

なので、降りはもっと無理。今回さっそく、ケーブルカーで降りてきました。ケーブルカーでもじゅうぶん怖いんですけどね。


で、この中腹に、最近大人気のビアガーデンがございます。もう、このためだけに来るのも全然アリでしょうなぁ。
やっぱり、高尾まで行くと、空気が違いますよ。だってもう、山なんだもの。新宿から1時間足らずで、迷惑なくらいの大自然。これがもう、かえがたい高尾の魅力です。


さて、中腹には着いたものの、実は絶景ポイントは写真1くらい(しかも、これも木々の梢の間から無理やり景色よく見えるよう撮ったものだったりする)なわけで、

「山に来た!」

と実感するには、微妙にモヤモヤしてしまうのです。
そんな我々の前に、

薬王院 15分(注・霊山でもある高尾山の、中核を成すお寺のこと)
・頂上 40分

という看板が。時刻はこの時点で午後2時前。こうなったら、
「とりあえず薬王院を見てみて、頂上まではさすがに登れないだろうけど様子だけ確認してみよう」
ってなるのは当然ですよね。


そんなわけで、薬王院襲撃。
途中、謎の「蛸供養」の石碑(写真2)に戸惑ったり(ここにあるたこ杉はわりと見もの)、「この石段は108段あります」という石段を数えながら登っていたら軽く10段は数え間違えて全然足りなかったり、高尾山の伝統である信徒による杉苗の献納に呆れかえったり(だって、こっちは毎年花粉症に苦しんでるのに、こいつら平気で何千本と納めやがるんだぜ?!)しながら、山道を歩いて薬王院へ到達です。

ここの裏手には、「修験根本道場」というのがありました。ちゃちいのですが、見る人が見たら何かを感じるかもしれません。
ていうかそもそもの話、こんな山の中に、土木機械もないのに本殿だ書院だと建てまくった昔の人はすげぇ、っていうのが先ですな。


気を取り直してさらに登ると、ついに我々の前にこの霊峰・高尾山の山頂が!(写真3)
…要するに、薬王院付近も、見晴らしは大してよくなかったわけで。
そしてさらに、なんと頂上すら、生い茂る木々のせいでこれという眺望は開けていない有り様でした。というわけで、合い言葉は

「高尾山へはケーブルカーで!」

あんな頂上から江ノ島なんか、見えるわけねーよ…。
初回はともかく、2回め以降は、せいぜい薬王院にお参りするくらいで十分ではなかろうか。

頂上とそれまでの行程で違っていたことといえば、自販機の飲み物が120/150円だったのが150/200円になってたくらいです。茶屋も、風景がよさそうなとこには建ってなかったからなぁ。ところてん食うくらいが関の山ですかね(山だけに)。
写真3の背景は、頂上付近でいちばん開けていたあたりです。が、ここも、「頂上」として開放されているエリアの中では2、3段下がったあたりだったりするという。


そんなこんなで、
「永田さんの例の白目顔はどことなく不動明王っぽいから、四天王に加えてもらって、持国天増長天広目天多聞天・永田天になればいい」
とか言いながら(注・疲れてました)下山。
途中で蕎麦でも食っていこう…と思いきや、時刻はすでに4時を回っており、我々が下るのに合わせるかのように、道々の土産屋や蕎麦屋茶店が、バタバタと店じまいをしていくという間の悪さ。

結局、ケーブルカーで麓まで降りてから、「高橋屋」という蕎麦屋さんでビール&蕎麦とあいなりました。

「高橋屋」さん、超お勧めです。美味い!蕎麦屋の息子である自分が言うのだから間違いないですよ!
…まあ、俺が都内でごろちゃらしてる間に、いつのまにか親父が脱サラして蕎麦屋を始めてたってだけの「蕎麦屋の息子」ですがね。

いやでも、本当に美味かったです。とりあえずせいろを食ったんだけど、蕎麦の香りがすごくよかったから、夏期限定の「辛味大根そば」なんかはかなりのものだろうなぁ…と想像させられました。
高尾山口駅前「高橋屋」。夕方6時までの営業ですので、お立ち寄りの際はお気をつけくださいませ。



なんか文章にすると不満タラタラですが、登って降りてくると、ちゃんと充実するものはあります。今年の夏は暑すぎないし、どうせ旨いビールを呑むのならば、軽く30分〜1時間くらい山内散策してもバチは当たりませんよ。
事実、我々は今後も行く気まんまんですからね。
適度な運動と美味い蕎麦とビール。いいオヤジのいい休日、かくあるべし。ってもんですよ、はい。

突発もいいとこの高尾山襲撃は、思いのほかアタリでした。
景色にさえ期待しすぎなければ、さすがは都内観光の王道の一角と呼べるでしょうね。

南無飯縄大権現。おしまい。

「坂の上の雲」のキャストが気になる。

NHKが今年末に満を持して公開する、大型歴史ドラマ「坂の上の雲」。

すでに、主役である3人は公開されてますが、これはもう、文句のない配役かと思います。

秋山好古/阿部寛
秋山真之/本木雅弘
正岡子規/香川照之

ビッタンコですよね。


ついこの間まで、大村益次郎を主役とする「峠」を読んでて、読み終わったら「坂の上の雲」にしようと思ってたんだけど、やっぱり話の繋がりからして「翔ぶが如く」を飛ばせなくなってしまうんですよね。
というわけで、今は征韓論まっただ中です。がんばれ三条公(もうすぐ倒れるけど)!

で、だからといって「坂の上の雲」を忘れてしまうわけでもなく。
ちょっと調べてみたら、ちらほらと他のキャストの情報も出てきているようでした。

小村寿太郎/竹中直人
陸羯南/佐野史郎
乃木希典(?)/柄本明

ぶはははははは!!
ハマりすぎだ!もうほとんど、本人みたいなもんじゃねぇか!(爆)
このペースで配役が決まっていくならば、もしかしたら、TV史に残るほどの怪作に仕上がるかもしれません。少なくとも、今から期待しておいて間違いないことは確かですよ。

念のため書いておくと、ただアクの強い俳優さんが集まってるからはしゃいでいるんではなくて、彼らがそれぞれ「そこしかねぇ!」という役を当てられているのがすごいんです。
柄本さんはまだ未確定らしいけど、誰ができるんだろう?とかなり疑問だった乃木役が実現するとしたら、これは相当なハマり役じゃないか、と。他はもう、言わずもがなですよね。


こうなってくると、他にもボロボロといる重要な役が誰になるのか、楽しみなんてもんじゃないですよなー。
児玉源太郎でしょ、大山巌でしょ、東郷平八郎でしょ、奥保鞏でしょ、立見尚文でしょ…

外国人キャストも、名前を聞いてイメージ湧かせて楽しむというわけにはいかないけど、いい役者さんを揃えてくれると信じてます。クロパトキンに、ロジェストウェンスキー
そして何と言ってもステッセル
旅順攻略戦はどんなにがんばってもド陰惨にならざるを得ないわけで、そうなると、水師営の会見がどんだけ「絵」としてキマるかにかかってくるんじゃないかな、って気がするんですよね。


11月末からスタート、という「坂の上の雲」。楽しみだぜ!

プロレスが好きです。

現役の、しかもトップランクの選手が、興行のメインイベント中に、リング上のアクシデントで命を落とす、という事件が起きてしまった。


その選手は、キャリアの最盛期には、自分より二回りも三回りも大きい体のライバルたちと、熱く激しい戦いを繰り広げたという。
二代目のタイガーマスクとして、そして素顔の三沢光晴として、日本のみならず、世界的にも「天才」と称された、プロレス史に輝く、偉大なレスラーだ。

自分みたいな「浅い」ファンでさえ、どう受け止めていいのかわからない「事件」。まして、少年時代からずっとプロレスに憧れ続けてきた世の多くのプロレスファンにとって、その衝撃がどれほどのものか、正直に言って、自分には、想像もつかない。

試合中だったのだ。メインイベントのリングの上で、「それ」は起きた。
プロレスの世界で様々な意味と様々な文脈で語られる「危険」という概念が、よりによって、こんなかたちで具象化してしまったのだ。


プロレスって何だろう。

プロレスって、どんな意味があるんだろう。

プロレスって、何のためにあるんだろう。

自分が好きなもので、追いかけていて、プロレス会場にはプロレスラーがいて、プロレスラーが自分たちに見せてくれる、このプロレスって、いったい、何なんだろう。
事件の報を聞き、土曜の深夜、まるで、苛立ちのような感情に襲われていた。
こんなことが起きてしまうプロレスって、何なんだ。
自分の好きな、見て楽しんできた、プロレスって何なんだ。


答えの出ぬまま、「ワールド・プロレスリング」の時間になった。
プロレスの番組だ。
その夜、放映された試合は……

素晴らしい内容だった!
「プロレスの試合で、面白いの教えてよ」と言われて、推薦するに足る、どこに出しても恥ずかしくない「名勝負」だった。

そうだ。プロレスは楽しいんだ。プロレスラーはすごいんだ。プロレスファンであることは、幸せで、喜びだったんだ。
僕は、プロレスを好きでいていいんだ。だって、そのために、プロレスラーは僕たちに、プロレスを見せてくれるのだから。

プロレスがプロレスであるために、僕たちファンは会場に足を運び、プロレスがプロレスであるために、プロレスラーはリングに上がり続ける。

三沢さんがやり続けてきたことは、そういうことだったんだ。



今回のようなことは、二度と繰り返されてはならない。
リング内外のサポート、リスクマネジメント、選手の体調管理。たとえ事故が起きる可能性を0にすることができないとしても、その可能性を限りなく0に近づけるための努力を惜しんではならない。
そして、プロレスは、続けなければならない。プロレスを、あきらめちゃいけない。

僕がプロレスにくじけてしまったら、僕の何十倍も何百倍も、文字通りプロレスに全身全霊で打ち込んだ三沢さんに、顔向けができないじゃないか。

「冬の時代」「業界存続の危機」と言われ続けてきたプロレスを、ずっと三沢さんは支え続けてきた。「プロレスを続ける。プロレスを伝える」というのは、三沢さんの「遺志」なんかじゃない。「意志」なのだ。
三沢さんを失望させないよう、三沢選手に恥ずかしくないよう、僕らもプロレスを守り、プロレスを続けていかなくちゃいけないんだ。



実は、僕は、三沢光晴の全盛期のファイトを観たことがない。
三沢だけじゃない。ジャンボ鶴田ブルーザー・ブロディゲーリー・オブライトアンドレ・ザ・ジャイアント、グラジエーター、そしてジャイアント馬場…映像で観た彼らの素晴らしい試合は、もう天国プロレスでしか観ることができない。
そうだ、天国プロレスでは、橋本真也と、エディ・ゲレロと、クリス・ベノワとも再会できるじゃないか。
もし僕が、いつか死ぬときまでの間にプロレスのことを忘れてしまったら、天国プロレスも観戦できなくなってしまう。そんなのは嫌だ。

そんなことにならないよう、天国プロレスの皆さんをがっかりさせないよう、この世のプロレスはこの世の人間が守らなければならないんじゃないか。


大丈夫だ。プロレスは今も、次々に素晴らしい試合を見せてくれている。プロレスは面白い。プロレスは熱い。
三沢さんが中興し支えてきてくれたプロレスは、今でもなお進化を続ける、絶えさせてはならない素晴らしいジャンルなんだ。

Show must go on.
プロレスは、続けられなければならない。
教えてくれてありがとう。三沢さん。
でも、わがままを言わせてもらえば、僕らの集まるリングの上に、もっともっといてほしかったです。


三沢光晴選手の、ご冥福をお祈りいたします。

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この文章の下書きをしている間に、テッド・タナベレフェリーまでもが天に召されたというニュースが報じられました。
みちのくプロレス大阪プロレスを主戦場に、数々のマットで幾人ものレスラーの試合を裁いてきた、多くのファンに愛された「日本一の悪徳レフェリー」だったということです。

テッド・タナベレフェリーのご冥福を、お祈りいたします。